パキスタンのカラチ3号機で華龍一号の圧力容器設置完了

2018年9月7日

 中国核工業集団公司(CNNC)は9月6日、パキスタンのカラチで中国が輸出用第3世代設計と位置付ける華龍一号を建設中であるが、その3号機で圧力容器据え付けが9月5日午前8時19分に完了したと発表した。
 圧力容器は、CNNC傘下の中国核動力研究設計院(NPIC)によって独自に設計され、中国第一重型機械集団公司が製造したもの。
 今回の据え付け作業は、蒸気発生器と圧力容器の合計4基が対象で、CNNCは圧力容器を吊り下げるための新たな「e-型」と呼ばれるフリップ・ブラケットを採用。これによって、効率的かつ安全に作業が進み、すべての据え付け工事は19日間と短期で終了したとしている。
 華龍一号は、CNNCと中国広核集団公司(CGN)が双方の第3世代原子炉設計を統合して開発したもので、2016年には華龍一号の国際展開促進を目的とする合弁事業体「華龍国際核電技術公司(略称:華龍公司)」を発足させている。
 同炉は現在、中国国内の福建省福清5,6号機(各115万kW)と広西省防城港3,4号機(各115万kW)の2か所で4基が建設中である。
 海外輸出では、パキスタンのカラチ2号機が初の例で2015年に、3号機(各110万kW)は翌2016年に着工した。今後アルゼンチンと英国での採用が決まっている。
 なお、パキスタンでは運転中5基の原子炉のうち、カラチ1号機のみがカナダ型重水炉(PHWR)で、そのほかのチャシュマ1~4号機では、中国の秦山原子力発電所と同じCNP-300という30万kW級の中国自主設計の原子炉が導入されている。
 「一帯一路」の経済圏構想を掲げる習近平政権にとって、高速鉄道と原子力の輸出は、中国の国家戦略となっており、特に英国で包括的設計審査(GDA)が進展中のブラッドウェルBプロジェクトは、華龍一号のブランド化の点で重要な意味を持っており、2017年4月に中国国内で「華龍一号標準化プロジェクト」がスタートした。さらに今年8月10日には、この標準化を中国国産の全PWRに拡大する方針が示されている。

  (参照情報:WNAの9月6日付WNN(ワールド・ニュークリア・ニュース)、
   CNNC及び国家能源局(NEA)のウェブサイト、原産新聞海外ニュースほか)