米原子力発電所、ハリケーン上陸後に要員輸送が復活
米国では9月14日、最大規模から1つ下のカテゴリーに分類されるハリケーン「フローレンス」が東海岸に上陸したが、進路沿いのノースカロライナ州ブランズウィック原子力発電所(90万kW級BWR×2基)では、15日に発令された「異常事態」宣言が18日の午後に解除され、洪水により阻まれていた同発電所への要員輸送が完全に復活したことが19日付けで明らかになった。
現地のメディアによると、ハリケーンの予想進路に当たっていたノースカロライナ州とサウスカロライナ州には7か所の原子力発電所が立地していたものの、影響のあった発電所はブランズウィック発電所のみ。その他の原子力発電所は100%出力で稼働、あるいは燃料交換や定期検査中であったと伝えている。
ブランズウィック原子力発電所の事業者であるデューク・エナジー社は9月13日、予想されていたハリケーンの上陸に先立ち、同発電所の原子炉2基を条件に従って安全かつ系統的に停止する手順を開始。両州に立地するその他の原子力発電所についても、嵐に備えた措置と準備を始めるとともに、風雨の状況を継続的に監視していた。
米原子力規制委員会(NRC)に対する同社の15日付け報告によると、フローレンスの襲来にともない、同発電所では洪水によりスタッフが個人の車両でサイトに接近することが難しくなり、NRCが区分する4つの緊急事態宣言のうち、最も軽度な「異常事態」宣言が発令された。
しかし、上陸後のフローレンスは勢力が徐々に衰えて熱帯低気圧となり、洪水も終息。「異常事態」宣言の解除を受けて、発電所への要員や追加物資の輸送を再開した。19日の夕方時点で160万の顧客に対して電力を復旧した一方、11万4,000の顧客が未だに停電状態にあることから、同社は南北のカロライナ両州の沿岸部と内陸部で被害の大きかった郡に対し、復旧活動を続けるとしている。
【参照情報】米NRC、デューク・エナジー社、国立ハリケーンセンターの各サイト