世界初のAP1000、中国の三門1号機が営業運転
中国核工業集団公司(CNNC)は9月21日、浙江省の三門原子力発電所(=写真)で1号機(PWR、125万kW)が午前4時頃、フル出力による168時間の連続運転という営業運転開始条件をクリアしたと発表した。今後、世界初のウェスチングハウス(WH)社製AP1000となった同炉の営業運転開始日は、最終的に21日に認定される見通し。これにより、中国の商業炉は40基、3,905万kWに達し、民生用の原子力発電規模は基数、容量ともに日本を抜いて世界第3位に躍進した。
2009年4月に着工した三門1号機は、今年6月21日に臨界条件を達成した後、6月30日に送電網に初併入。8月14日には、出力を徐々に上げていく試験の中で初めて定格出力に到達していた。
第3世代の原子炉設計であるAP1000の技術的特徴として、CNNCは受動的安全系を採用している点を指摘している。WH社の説明によると、AC電源に依存せずに重力注水や沸騰・凝縮などの静的プロセスのみで事故を収束し、安全停止の維持が可能であるほか、最終ヒートシンクが大気であるため、海水など冷却水の循環なしに原子炉の冷却維持が可能。建屋内の物量を大幅に削減して経済性を高めたほか、大型蒸気発生器の採用により、一次系を大容量化し2ループとした点などを伝えている。
三門1号機に続くAP1000としては、CNNCは8月24日に同2号機を国内送電網に接続。年内にも営業運転を開始する見通しとなった。山東省で建設中の海陽1、2号機についても、8月8日に臨界条件を初めて達成した1号機を同月17日付けで送電網に接続したこと、2号機では同月8日付けで157体の燃料集合体の装荷を開始したことを明らかにしている。
【参照情報】CNNC発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月21日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」。