ロシアで32基目のロストフ4号機が営業運転
ロシアで民生用原子力発電所の運転を担当するロスエネルゴアトム社は9月28日、南西部の黒海北部に位置するロストフ原子力発電所で、4号機(PWR、107万kW)(=写真)が当初のスケジュールよりも3か月前倒しで営業運転を開始したと発表した。国内で建設されていた100万kW級のロシア型PWR(VVER)としては最後の1基で、出力10万kWを超えるロシアの商業炉としては32基目となる。同国ではすでに、第3世代+(プラス)の革新的技術を採用した「AES-2006」のノボボロネジ6号機(PWR、120万kW)が昨年2月に営業運転を開始したほか、同型設計のレニングラード2期工事1号機(PWR、120万kW)も今年3月に送電を開始。ロシア国営の原子力総合企業、ロスアトム社のA.リハチョフ総裁は、ロストフ4号機においても第3世代+の革新的技術が安全面で一部採用されたほか、建設工事では資材や財源の効率的な活用により、経費を15億ルーブル(約26億円)以上、抑えることが出来たと強調している。
ロストフ4号機は2010年6月に本格着工し、昨年12月に燃料の初装荷や炉内構造物等の据え付け作業が完了。今年1月に連邦環境・技術・原子力監督庁(ROSTECHNADZOR)が起動許可を発給しており、2月2日に送電網に接続された。同月21日から始まった試験運転段階では、4月14日付けで定格出力に到達。その後、ROSTECHNADZORは7月24日から8月3日まで、同炉で営業運転の開始準備ができているか包括的な点検を実施しており、9月25日には「建設工事が完全に完了し、技術規制や規範的な法律を遵守するなど、営業運転の開始が可能」との最終判断を明らかにしていた。
ロスエネルゴアトム社によると、最後の1基である4号機が起動したことにより、ロストフ発電所は全面的に稼働。4号機はすでに、試運転段階で37億5,000万kWhの電力を発電しており、ロシア南部地域の送電網における同発電所のシェアは、これまでの26%から約30%に拡大する。ボルゴグラード州やクラスノダール地方などの電力供給地域に対しては、46%だった供給シェアが、約54%に増大すると説明している。
(参照資料:ロスエネルゴアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月1日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」、ほか。)