フィンランドのオルキルオト3号機で運転開始がさらに遅延の可能性
フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は10月3日、完成が大幅に遅れているオルキルオト原子力発電所3号機(PWR、172万kW)(OL3)について、建設工事を請け負った仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合が、工事の最終段階における全体的な建設スケジュールを再調整する事になったと発表した。最新のスケジュールは今年12月にTVOに伝えられる見通しだが、TVOとしては、この再調整が現在の通常運転開始予定日である2019年9月に影響を及ぼすのか、判断できないとしている。
世界で初めてアレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)を採用したOL3の建設工事は、2005年8月に始まった。着工当時の完成予定は2009年で、TVOは約30億ユーロ(約3,932億円)の固定価格によるターンキー契約を同企業連合と締結。工事の遅延にともなう超過コストや損害賠償金については、TVOと企業連合が今年3月に和解契約を締結しており、この時点でTVOは、最終的な投資額が約55億ユーロ(約7,209億円)にのぼったことを明らかにした。
この和解契約により、TVOは仏独の企業連合から分割払いで4億5,000万ユーロ(約589億8,000万円)を受け取ることになったが、同契約ではOL3が完成するまでの保証期間を全面的にカバーするため、資金を適切に確保すると明記。2019年末までにOL3を完成できなかった場合、企業連合はさらに4億ユーロ(約524億円)を上限とする罰金をTVOに支払うことになっている。
今回の発表によると、OL3で現在行われている起動試験は、企業連合側が今年6月に提示した最新スケジュール通りに進展しておらず、2019年5月に予定されていた通常運転の開始予定日は、6月の時点で4か月後の2019年9月に延期されていた。様々な出力レベルによる試験運転プログラムも、2019年5月からの開始を予定しているものの、TVO側では完成までの保証期間が終了するまでに、同企業連合の参加企業には契約義務を果たすための連帯責任が複数、課せられている点を強調している。
(参照資料:TVO発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)