インドの新規立地点で6基のロシア型原子炉が建設へ
ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は10月5日、ロシアとインド間の原子力協力について、「両国が共同で特定した協力の実施分野と優先順位付けに関するアクション・プラン」を、同社とインド原子力省(DAE)が調印したと発表した(=写真)。この中では特に、インドの新規立地点においてロシア型PWR(VVER)を6基建設するプロジェクトを進めていくと指摘している。地点名や予算等に関する言及はなかったものの、ロシア側は「近いうちに第2サイトで新規計画を連続的に開始できる見通しだ」と明言。第3世代+(プラス)の革新的VVERを、技術的ソリューションとして提案するとした。
また、この計画を通じてインド原子力産業界による機器製造の国産化率やプロジェクトへの関与レベルを高めるとともに、第三国の計画についても協力を加速。新しい視点の原子力技術や原子力発電所の共同建設等で、協力していきたいとしている。
このアクション・プランへの調印は、ニューデリーで両国間の第19回・年次サミットが開催されたのに合わせて、ロスアトム社のA.リハチョフ総裁と、原子力委員長を兼ねているK.ヴィアスDAE長官が行った。インドではすでに半島南端のクダンクラムで、ロシア製の100万kW級VVERである1、2号機が稼働中のほか、同規模の3、4号機が2017年6月と10月にそれぞれ本格着工。続く5、6号機についても同年6月、一般枠組協定とプロジェクトの実施に必要な政府間信用議定書への調印が行われたのに続き、主要機器の調達手続が同年8月に開始された。
両国政府が同日に公表した共同声明では、様々な分野の両国間協力について進展状況が確認されており、民生用原子力分野における両国の戦略的連携は、インドのエネルギー・セキュリティやパリ協定の遵守に大きく貢献していると明記。クダンクラム発電所では残りのユニット建設が順調に進んでいるとしており、機器類の現地製造に対して多大な労力が注がれている点を指摘した。
両国はまた、インドにおける新規のロシア型原子炉建設や原子力機器の共同製造、第三国協力などについて協議が行われたことを歓迎。今年3月、ロシアがバングラデシュから請け負った同国初のルプール原子力発電所建設計画に、インド企業も協力するための了解覚書が三国間で結ばれたことを強調している。
(参照資料:ロスアトム社、DAE、インド首相府の各発表資料、原産新聞・海外ニュース、WNAの10月5日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)