GEパワー社、エジプト初の原子力発電所にタービン系納入へ
米国のGEパワー社は10月9日、エジプト初の原子力発電所として計画されているエル・ダバ原子力発電所に、タービン系統を4基分納入することになったと発表した。 同発電所プロジェクトでは、エジプト北部のエル・ダバに120万kW級のロシア型PWR(VVER)を4基、建設することになっており、初号機の起動は2026年を予定。エジプト政府は昨年12月、プロジェクトを請け負ったロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社との契約を実行に移すため、最終文書となる「通知条項」に署名していた。
GEパワー社が獲得した今回の契約は7億ドル相当と言われており、ロシアのアトムエネルゴマシ社との合弁事業体であるAAEM社を通じて、4基分のタービン系統機器を納入予定。具体的にはタービン系統の基本設計や、低速蒸気タービン「アラベル」を含むタービン発電機を4セット、および現地での設置と起動にともなう技術的な専門知識を提供するとしている。
GEパワー社の発表によると、エジプトでは急速な人口増加と産業活動の活発化により電力需要が急増。2022年まで年率6%という増加量を補うため、毎年150万kWの発電設備を追加していく必要がある。停電のリスクを避けつつこの需要増に対応するため、エジプト政府は発電設備の多様化を含めた意欲的なエネルギー計画を策定。信頼性が高い上にCO2を排出せず、低価格な電力を送電網に供給可能なエル・ダバ原子力発電所は、この計画を実行に移す一助に位置付けられているという。
GEパワー社はまた、過去18年にわたり世界中で稼働している「アラベル」タービンは、未だに出力の規模において世界記録を維持しているとした。同タービンは2015年、GE社が仏国の大手重電機メーカーであるアルストム社の発電・送配電事業を買収して得たものだが、あらゆる型式の原子炉に適合するほか、従来型の機器構成のタービンよりも出力が2%増強される。仏国の原子力発電所に組み込まれた「アラベル」タービンは、40万時間を超える運転時間の中で99.96%の信頼性を実証したと強調している。
(参照資料:GE社発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月9日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)