英エネ相、「合意無き」Brexitに備え対策を整えると約束

2018年10月15日

 英国では、欧州連合(EU)と欧州原子力共同体(ユーラトム)からの正式離脱(Brexit)が2020年末に迫っている。その移行期間が来年3月末から始まるのを控え、英国政府は10月10日、離脱協定に最終合意しないまま離脱する可能性も含め、民生用原子力部門があらゆる潜在的シナリオに対応できるよう、必要な法整備などの準備を進めている点を強調した。
 ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のG.クラーク大臣が同日、議会に対して文書で声明書を提出したもので、ユーラトム離脱後も英国が独立の立場で責任ある原子力国家として統治されるよう、あらゆる対策を整えることを約束している。

 移行期間の開始まで半年を切ったが、英国内ではこの「合意なき離脱」へのリスクが高まっているとの指摘がある。英国政府は8月下旬、国民に不測の事態や混乱に備えることを促す最初のプランを「技術的告知」として公表。クラーク大臣は、移行期間に入っても民生用原子力部門の貿易や協力が途絶しないことを保証するため、必要となる国際協定関係の交渉はすべて順調に進めていると明言した。具体的には、5月4日に米国と新しい二国間原子力協力協定(NCA)に調印したのに続き、8月21日にはオーストラリアとのNCAに調印したとしている。
 英国政府はまた、国内の新しい民生用原子力保障措置体制となる原子力保障措置規制案の詳細を公開協議に付しており、現在は得られた見解の分析を実施中。この秋にも正式な対応を公表する方針で、年末までには規制案を議会に提出できるとの見通しを示した。同規制案は2013年エネルギー法と2018年原子力保障措置法の下に置かれる内容で、移行期間に入る前に英国の新たな原子力保障措置体制として公表されることになる。
 クラーク大臣はまた、ユーラトムと英国間で緊密なつながりを模索するため、英国が考えている前向きな提案の詳細を7月に提示したと指摘。ここでは特に、ユーラトムと第三国間の既存の協定よりも、一層包括的かつ幅広いものを、ユーラトムと英国間のNCA交渉で追求していくとしている。

 (参照資料:英国議会と英国政府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)