ウクライナ規制当局、ザポロジェ4号機の運転期間延長を承認

2018年10月16日

SNRCで行われた審議の模様
©ウクライナ原子力発電公社

 チェルノブイリ事故後30年以上が経過したウクライナでは、総発電量の約50%を賄う商業炉15基のうち、経年化した11基について順次、運転期間の延長手続を進めている。同国の国家原子力規制検査庁(SNRC)は10月11日、ザポロジェ原子力発電所4号機(PWR、100万kW)について、全会一致で運転期間の10年延長を認める判断を下したと発表した(=写真)。
 同炉で行われた定期安全審査について、国家原子力放射線安全試験で出された結論を承認したもので、同炉は2028年4月4日まで運転することが可能になった。これにより、欧州最大規模の設備容量を持つ同発電所では、出力100万kWのロシア型PWR(VVER)6基のうち1~4号機までが、VVERの設計上の公式運転期間である30年を超えて運転を継続。同国ではこのほか、南ウクライナ1、2号機、およびロブノ1~3号機ですでに運転期間の延長許可が下り、30年以上の運転を継続中となっている。

 ザポロジェ4号機の定期安全審査の結果報告書は、国家原子力放射線安全科学技術センターの原子力施設信頼性分析局長がSNRCに対して提示。同局長は、「運転期間の延長を不可能にするような問題は見つからなかった」としており、この結論を出すにあたっては、国際原子力機関(IAEA)の勧告や西欧原子力規制者協会(WENRA)の要件を考慮した点を強調した。
 ザポロジェ原子力発電所の所長は、運転期間の延長に向けてウクライナ原子力発電公社が同炉で機器の技術的コンディションを全面的に点検したと明言。安全性も再評価した上でその向上を図るとともに、機器の取替を実施し、福島第一原子力発電所事故後の対策も含めて、安全性向上の対策を施したと説明した。
 さらに、同炉の包括的な点検に際しては、保健省や緊急事態サービス省などの専門家が多数、関わったことが明らかになっている。

 1988年に営業運転を開始した同炉は、当初認可された運転期間が今年4月に満了。現在は運転期間の延長に向けた大掛かりな改修工事を実施中で、複数の技術的・組織的対策を義務事項として講じている。また、機器の大規模な最新化と改造、革新的技術を採用したシステムや最新機器の導入を行うことにより、延長期間中も安全かつ信頼性の高い運転を実現するとしている。

 (参照資料:ウクライナ原子力発電公社、国家原子力規制検査庁の各発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)