ウズベキスタンがロシア製PWRで新規原子力導入国へ
ロシア大統領府は10月19日、ウズベキスタン初の原子力発電所建設プロジェクトを請け負ったロシア企業が、サイト選定のための地質調査を同国南西部のナボイ州で開始したと発表した。今年9月にモスクワで調印された原子力発電所建設のための二国間協定に基づくもので、国際原子力機関(IAEA)の最新の安全要件を満たした120万kW級のロシア型PWR(VVER)を2基、建設する計画。最初の1基は2028年末よりも前の運転開始を予定しており、順調に進めば、現在31か国/地域を数える原子力発電開発利用国の1つとして、新たに仲間入りすることになる。
今回の発表は、ロシアのV.プーチン大統領が両国間の第1回地域協力フォーラムに出席するため、ウズベキスタンの首都タシケントを訪問した際、プロジェクトの準備作業開始を祝う記念式典で明らかにされた。これに先立ち、ウズベキスタン政府は今年7月、同国初の原子力発電所建設についてロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社と合意。天然ガス資源が存在するウズベキスタンでは、年間690億kWhという国内電力需要の約85%を天然ガスと石炭火力で賄っているが、原子力発電所を導入することにより、天然ガスを輸出用や高付加価値化学製品の原料として、一層有効に活用したい考えだ。
地域協力フォーラムの閉会式で、プーチン大統領はウズベキスタンのS.ミルジヨエフ大統領(=写真、右から2人目)とともに声明文を発表。両国が明るい見通しを持っているエネルギー部門の協力には特別な注意が払われるべきだとした上で、ロスアトム社が実施する原子力発電所建設は単なる大規模産業施設の建設に留まらず、ウズベキスタンに新しい産業と経済部門を生み出すことになると述べた。
同大統領は合計出力240万kWの原子炉2基により、ウズベキスタンの顧客とその他の中央アジア諸国に安価でクリーンな電力を供給する予定。これにより、ウズベキスタンのみならず、中央アジア地域全体にエネルギーの安定供給がもたらされるとした。ロシアとしては、最も先進的な技術と効率的かつ信頼性の高いエンジニアリング・ソリューションを原子力発電所建設に適用する方針で、最も高い安全性や環境面の要件についても遵守されると強調している。
現地の報道によると同プロジェクトの総工費は約110億ドルで、その大半はロシアが提供する貸付条件の緩やかなローンで賄われる模様。また、複雑なプロジェクトであるため、初号機の最初のコンクリート打設が2020年より前に行われることはないとの見通しを伝えている。
(参照資料:ロシア大統領府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)