世界で2基目のAP1000、中国の海陽1号機が営業運転
中国の国家電力投資集団公司(SPIC)は10月23日、山東省で8月から試運転中だった海陽原子力発電所(=写真)1号機(PWR、125万kW)が、22日付けで営業運転の開始条件をクリアしたと発表した。フル出力による168時間の連続運転試験を完了したもので、ウェスチングハウス社製AP1000としては、9月に世界で初めて営業運転入りした三門原子力発電所1号機に次いで2基目。中国の運転中商業炉としては41基目であり、国内の原子力発電総設備容量は、米国、仏国に次ぐ世界第3位のレベルを維持したまま4,000万kW台に突入している。
最新の受動的安全系を装備する同炉はまた、山東省で運転を開始した最初の商業炉となった。海陽発電所に65%出資するSPICは、同省のエネルギー構造や生態学的環境を最適化していく上で、海陽1号機は重要な役割を担うとの認識を提示。同炉はまた、SPICが世界的レベルのクリーン・エネルギー企業となることを後押しするとした。さらに近い将来、AP1000の出力拡大版として中国が知的財産権を保有する「CAP1400」を建設する際にも、同炉の建設は盤石な基盤を築くとしている。
出力140万kWの第3世代設計である「CAP1400」は現在、同じ山東省内の栄成石島湾で、SPIC傘下の国家核電技術公司(SNPTC)が実証炉建設プロジェクトを準備中。同設計は2016年5月に、国際原子力機関(IAEA)の一般原子炉安全レビュー(GRSR)を終えており、原子炉建屋部分のコンクリート打設について最終承認待ちとなっている。
SPICはまた、昨年10月にブラジルで開催された「大西洋国際原子力会議」においても、CAP1400設計を大きく紹介。栄成石島湾の実証炉プロジェクトの進展状況について説明したほか、今年5月には、南アフリカやトルコなどの市場開拓で重要な進展があったことを明らかにしている。
(参照資料:SPIC、SNPTCの各発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月23日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)