米ホルテック社、インドでのSMR機器製造施設建設で覚書
米ホルテック・インターナショナル社は11月21日、インド南西部のマハラシュトラ州に原子力発電所用のシステムや機器の製造施設を建設することで、同社のアジア支社と同州の州政府が了解覚書を交わしたと発表した(=写真)。同社が開発している小型モジュール炉(SMR)「SMR-160」の機器も含めて、インドで大規模な建設が計画されている原子力発電所用に、システムや機器をインドが自立的に製造することが可能になるよう支援するためのもの。同施設は暫定的に「ホルテック重機器製造部門(HHMD)」と呼称されており、主に原子力発電所の複雑な安全性関連機器の製造・組み立てに対応する一方、石油や化学、航空宇宙等その他の産業で必要とされる大型溶接物に対しても、対応可能な設備が備え付けられるとしている。
マハラシュトラ州のジャイタプールでは現在、フランス電力(EDF)が6基の欧州加圧水型炉(EPR)建設を計画しており、エンジニアリング調査と機器調達活動の一部をインド企業に割り当てることが検討されている。同州を統治するD.ファドナビス主席大臣は、今回の覚書を足がかりに、N.モディ首相が提唱する外国資本の投資呼び込み政策「メイク・イン・インディア」を同州が牽引していくとの抱負を述べた。
ホルテック・アジア社のJ.シャテルジー社長は、同施設によりインドの製造能力は飛躍的に拡大するとして、今回の覚書の重要性を強調した。覚書に調印したホルテック・インターナショナル社のK.シン社長兼CEOも、同社のノウハウと専門的知見が詰め込まれた最新鋭の施設は、インドが高性能機器の世界的プロバイダーとして躍進する際の主柱になるとの認識を明示。人の介在なしでも安全状態の維持が可能な同社製「SMR-160」を世界中で建設するため、米国とインドを協力的合意関係に至らしめるという同社目標の実現にも役立つとしている。
「SMR-160」はポンプやモーターなどの駆動力を必要としない電気出力16万kWのSMRで、受動的安全システムを装備。地震や津波、ハリケーンなどの自然災害から被害を受けることはなく、福島やチェルノブイリで発生したような惨事も、「SMR-160」のサイトでは起こりえないとホルテック社は強調した。
同設計は現在、米原子力規制委員会(NRC)の「認可申請前レビュー」を受けているところで、認可プロセスの初期段階で顕在化する潜在的課題の特定と解決を試みている。設計認証(DC)の審査申請書は、年内にもNRCへの提出を目指していると伝えられている。
(参照資料:ホルテック社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)