世界初の欧州加圧水型炉(EPR)、台山1号機が営業運転
中国広核集団有限公司(CGN)は12月13日、世界初の欧州加圧水型炉(EPR)として6月末から試運転中だった台山原子力発電所(=写真)1号機(PWR、175万kW)が同日、フル出力による168時間の連続運転も含めたすべての機能試験をクリアし、営業運転に入ったことを明らかにした。同発電所では、フラマトム社製のEPR設計を採用した1、2号機がそれぞれ2009年と2010年に本格着工。同設計を世界で初めて採用して2005年に着工したフィンランドのオルキルオト3号機(PWR、172万kW)や、2007年に仏国初のEPRとして着工したフラマンビル3号機(PWR、163万kW)を追い抜いて、先に完成した。
これら先行計画における作業経験が、台山1、2号機計画では初期段階の建設工事に活かされたとCGNは指摘。台山計画に30%出資するフランス電力(EDF)は、後続計画であるとともにCGNが一部出資を約束している英国のヒンクリーポイントC原子力発電所(EPR×2基)建設計画やサイズウェルC(EPR×2基)建設計画など、世界中のEPR建設プロジェクトが台山計画の技術面、およびプロジェクト管理面の経験から恩恵を受けるとした。なお、台山2号機については建設工事が機器の据え付け段階に入り、来年の運転開始を目指すと見られている。
EDFによるとCGNとの戦略的協力関係は、中国の原子力発電開発黎明期に仏国が建設協力した広東・大亜湾原子力発電所以降、35年に及んでいるが、台山計画は中仏エネルギー部門における協力プロジェクトの中で最大規模のもの。これら2基が完成すれば、年間240億kWhの電力を中国の送電網に供給することが可能になり、これは500万人の中国人による1年分の電力消費量に相当するとした。
また、これら2基が抑制するCO2の排出量は、年間で2,100万トンにのぼると説明。EDFのJ.-B.レビィ会長兼CEOは、電力需要の増加とCO2の排出量抑制という課題に取り組む多くの国にとって、EPRは価値の高い資産になるとの認識を示した。
EDF傘下のフラマトム社は、同社の中でもEPRの主要機器や計測制御(I&C)系、燃料システムなどの設計・製造に携わった専門家の知見を誇りに思うと述べた。第3世代+(プラス)の設計であり60年間の運転を想定したEPRには、同社が世界中で建設した原子炉約100基分の経験が組み込まれているとした。同設計はまた、発電コストの低減や放射性廃棄物の発生量削減、運転面の柔軟性拡大、停止期間の合理化といった面で、電力消費者に経済的恩恵をもたらすとしている。
(参照資料:CGN、EDF、フラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)