英ロールス・ロイス社、ハンガリーの増設計画で機器供給の可能性 模索

2019年1月10日

 英国のロールス・ロイス社は1月8日、ハンガリーで計画されているパクシュ原子力発電所2期工事への機器供給で共同作業が可能な分野を模索するため、ハンガリーを本拠地とするエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)プロジェクトの総合請負企業グループ「OTインダストリーズ社」と了解覚書を締結したと発表した。

 パクシュ2期工事では、ハンガリー唯一の原子力発電設備である1期工事の4基(各50万kWのロシア型PWR)をリプレースするため、ロシアからの低金利融資により、120万kW級のロシア型PWR(VVER)を2基増設する計画。このためロールス・ロイス社は、ハンガリーの石油・ガス大手、MOLグループが所有するOTインダストリーズ社との協力により、2期工事に対して計測制御(I&C)系と緊急用ディーゼル発電機(EDG)を供給するための方策を探る。OTインダストリーズ社には原子力部門も設置されており、様々なEPCプロジェクトにおいて広範な経験を有している。

 今回の覚書について、ロールス・ロイス社の担当理事は、「ロシアの原子力総合企業ロスアトム社が請け負ったプロジェクトへの参加という当社目的の一部として、パクシュ2期工事は、フィンランドのハンヒキビ原子力発電所建設計画やトルコのアックユ発電所建設計画と同様、戦略的に重要なプロジェクトだ」と述べた。
 これらのVVERプロジェクトに対し、ロールス・ロイス社では安全性と高い稼働率を確保するための重要システムを供給する用意があるとしており、ハンヒキビ計画とアックユ計画ではすでに、自動防護設備やコンサルティング業務を受注済み。同社製の統合型EDGが高い信頼性を有していることや、デジタル方式のI&C技術は安全性関連の様々な防護システムに利用可能である点を強調している。
 同理事はまた、今回の覚書を通じて、ロールス・ロイス社はハンガリー側のパートナーと緊密に連携していきたいと明言。地元企業に最大のシェアを確保しつつ、建設プロジェクトに協力する考えを強調した。

 一方のOTインダストリーズ社は、主要活動が中欧・東欧地域における石油・ガス関連事業であるものの、原子力エンジニアリングに関しても30年もの経験があることを示し、パクシュ2基工事には是非とも参加したいと考えているため、ロールス・ロイス社のように国際的に広範な経験を有する企業とは、積極的に協力の機会を求めていくと説明した。

 (参照資料:ロールス・ロイス社とOTインダストリー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)