米国で「原子力技術革新・規制最新化法」が成立
米国のD.トランプ大統領が1月14日付けで「原子力技術革新・規制最新化法(NEIMA)案」に署名・成立したのを受け、米原子力エネルギー協会(NEI)は16日、原子力規制委員会(NRC)による規制手数料の徴収プロセスが刷新されるなど、「重要かつ有益な一歩が刻まれた」とする声明文を発表した。
NEIのM.コースニック理事長は、NEIMAによってNRCの手数料徴収構造は一層公平で透明性が高く、予測可能なものになると指摘した。これにより、今後先進的な原子炉設計を認可していく上で、効率的で安定した規制構造が構築され、既存の商業炉を米国内で操業する全事業者やこれから事業者となる企業が恩恵を受けることになると明言。また、現議会が原子力産業における技術革新を支援していることが改めて確認されたと強調している。
同法案は2017年に上院のJ.バラッソ議員(共和党)らが超党派で提出していたもので、既存炉に対するNRCの年間徴収手数料に上限を設けるとともに、新型炉の審査プロセスを2年以内に策定することをNRCに指示している。NEIは同法案により、溶融塩炉や液体金属冷却炉、高温ガス炉といった新型原子炉設計の開発業者がオプションで利用可能になるよう、あらゆる技術的側面を包括した許認可の枠組を2027年までに完成させることになるとした。
NEIによれば、新法案ではまた、(1)現行の手数料徴収システムを、原子力産業界が直接起因する活動に対して支払い義務を負わせるシステムに変更。(2)NRCの意思決定スケジュールで透明性が確保されるよう、先進的原子力施設の性能判定基準を設定するとともに議会に報告することをNRCに義務付ける。さらに、(3)天然ウランの抽出に関する認可期間を20年に倍加し、関連するルーチン業務については、定額料金制を導入するための試験プログラムの開発をNRCに指示――している。
NEIMAは先進的原子力技術改革の支援を目的としており、昨年までに超党派で提案された複数の原子力関連法案の1つ。これらのうち、新型原子炉技術の商業化を加速するという「2017年原子力技術革新対応法(NEICA2017)」が昨年9月に成立したほか、新型原子炉の許認可で必要となる規制の枠組開発を促進する「基幹エネルギーとしての原子力活用法(NUKE)案」、濃縮度5~20%の低濃縮ウランを商業炉に装荷するための「新型原子燃料の安定供給法案」が昨年中に下院を通過し、上院に回された。また、米国が商業原子力技術における国際的リーダーシップの再構築を狙った「原子力エネルギー・リーダーシップ法案(NELA)」も現在、上院で審議中となっている。
(参照資料:NEI、米国議会の発表資料、原産新聞・海外ニュース、WNAの1月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)