ロシアのビリビノ1号機が閉鎖、海上浮揚式原子力発電所でリプレースへ
ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は1月23日、極東地域最北端のチュクチ自治管区に電力を供給するビリビノ原子力発電所(=写真)(1.2万kWのRBMK×4基)で、1号機の本格的な廃止措置に向けた閉鎖許可が連邦環境・技術・原子力監督庁(ROSTECHNADZOR)から発給されたと発表した。ビリビノ発電所では、チェルノブイリ発電所と同じRBMKを小型化した「EGP-6」原子炉が4基設置されており、ロシア本土の送電網から隔絶されたチャウン・ビリビノ系統が必要とする電力の約80%を供給。1973年に初臨界を達成した1号機は、ほぼ一年ずつ遅れて完成したほかの3基とともに、公式運転期間の30年に15年追加して稼働していた。
2018年4月になると、サンクトペテルブルクで建造中だった海上浮揚式原子力発電所の「アカデミック・ロモノソフ」号が、最終立地点となるチュクチ自治管区のペベクに向けて出港。同年10月には経由地のムルマンスクで燃料が装荷されており、今年の夏頃にペベクに到着した後は、原子炉が順次閉鎖されていくビリビノ発電所の設備容量を補うことになっている。
今回の許可発給により、民生用原子力発電公社のエネルゴアトム社は今後、1号機を安全な状態に移行するとともに、廃止措置に必要な文書も揃える計画。停止した1号機からはすでに、使用済燃料が抜き取られ、貯蔵プールに移送されている。
一方の「アカデミック・ロモノソフ」号は、出力3.5万kWの小型炉「KLT-40S」を2基、搭載。ペベクでは今のところ、同発電所の安全な係留に必要となる港湾施設や陸上設備などのインフラ構造物を建設中だが、同発電所はビリビノ原子力発電所やチャウンスカヤ熱電併給発電所に代わって、チュクチ自治管区と同管区内のビリビノ市に十分な電力と熱エネルギーをもたらすとしている。
(参照資料:ロスアトム社とロスエネルゴアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)