中国のCGN、独自開発したATFで照射試験
中国広核集団有限公司(CGN)は1月22日、独自に開発した事故耐性燃料(ATF)「S2F PI-A」の照射試験を正式に開始するため、20日に同ATFの燃料棒を研究炉内に装荷したと発表した。開発に協力した中国工程物理研究院・核物理化学研究所や中広核研究院有限公司の立ち会いの下に行われたもので、原子炉を使ったATFの照射試験を実施するのは同国では初めてのこと。この試験を通じて貴重な照射データが入手できるとしたほか、コンピューター計算後のモデリングにおいても有用かつ強力な一助になるとしており、CGNによるATFモデルの研究開発で重要な一歩が刻まれたと強調している。
CGNは2015年、ATFの研究開発プロジェクトを主導するよう政府から正式に任命され、深セン(土へんに川)科学技術プロジェクトを始めとする複数の国家的大型プロジェクトから、関係する様々な支援を獲得。研究開発を指導する国家チームを設置するため、国内外から著名な専門家を招聘したほか、国家電力投資集団や中国科学院、中国工程物理研究院、清華大学といった研究機関とも連携している。
2017年12月には、四川省の「中国綿陽研究炉(CMRR)」を使ってATF候補材料の中性子照射試験を開始しており、それ以降、ATFの開発と関連プロジェクトへの適用に重点的に取り組んでいる。この時の発表によると、CGNは事故条件下の安全性能で予備評価を実施するなど、ATFの概念設計完了までに3年近くを費やした。ATFを商業炉に適用する際の要件については、5年以内にクリアすることを目指すと2018年6月に発表している。
(参照資料:CGNの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)