仏電力の2018年決算書、回復傾向にあることを確認
フランス電力(EDF)は2月15日、前日の理事会で2018年12月末までの同グループの連結決算書を承認し、すべての財務目標を達成するとともに業績計画における目標値もすべて上回るなど、財務状況が回復傾向にあることを確認したと発表した。
2018年は、世界初の欧州加圧水型炉(EPR)として、EDFが中国で建設を支援している台山原子力発電所の1号機(175万kW)が12月に営業運転を開始したほか、フラマトム社の統合も成功裏に完了したと説明。これは、エネルギーの転換を背景にした同社戦略「CAP 2030」を推進するため、グループ内の従業員が日々、一丸となって働いた結果であり、2035年までに原子力発電シェアを50%に削減するべく政府が策定中の「エネルギー複数年計画(PPE)」においても、同グループがその実施で主要な役割を担っていく考えであると強調した。
なお、現地の報道によると、同社は仏国内における後続EPRの建設計画について政府が可否を判断できるよう、産業計画の提示を求められている。これについてはEDFのJ.-B.レビィ会長兼CEOが決算報告の際、「2021年半ばまでに詳細な計画を示す」と述べたことが伝えられている。
2018年の決算書では、経常外項目を除いたEDFの純利益とグループ帰属分の純利益もマイナス成長だったが、金利・税金・償却前利益(EBITDA)は153億ユーロ(約1兆9,000億円)と前年以降11.3%の増加を記録。目標通りに2桁成長を達成したとしており、新規開発項目を除いたキャッシュ・フローは11億2,500万ユーロ(約1,400億円)と、2018年の目標額を概ね達成した。年末時点の純有利子負債額も1年前とほぼ変わらない334億ユーロ(約4兆1,700億円)と安定しており、貸借対照表が強化されたほか、再生可能エネルギーによる発電量も過去最高レベルを更新。様々な重要な技術革新を通じて、同社の電力供給事業が強化されたとしている。
また、同社が英国内で保有する原子力発電所の年間発電量は、591億kWhと7.5%減少したものの、仏国内の原子力発電所の発電量は3,932億kWhで3.7%上昇した。国内唯一の建設案件であるフラマンビル3号機(163万kW、EPR)計画では、昨年2月から3月にかけて2次系配管部分で溶接の品質にバラツキが認められたため、アクション計画が進行中。英国で約20年ぶりの新設計画であるヒンクリーポイントC原子力発電所プロジェクトも、継続して進めている点を強調している。
(参照資料:EDFの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月18日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)