カナダのSMRプロジェクト、テレストリアル社らが募集プロセス第2段階へ

2019年2月21日

 カナダ原子力研究所(CNL)は2月15日、CNLの管理サイト内で小型モジュール炉(SMR)の実証炉を建設・運転するという独自のプロジェクトで、2社を募集プロセスの第2段階に招聘したことを明らかにした。このうち1社は、電気出力19.5万kWの小型モジュール式・一体型溶融塩炉(IMSR)を開発しているテレストリアル・エナジー社で、もう片方は出力1.4万kWの高温ガス炉(HTGR)を開発中のスターコア・ニュークリア社である。
 これらのほかに、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社との連携により、出力0.5万kWのHTGR開発を進めているグローバル・ファースト・パワー(GFP)社とウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)のチームでは、すでに第2段階が完了しつつあることから、第3段階への進展を勧告。オンタリオ州チョークリバーなどCNLの管理サイト内で、2026年までに少なくとも1基のSMRを建設するというCNLの長期戦略に沿って、プロジェクトが順調に進んでいる。

 CNLの認識では、SMRの生み出すクリーン・エネルギーはカナダ国内の辺境地域や工業地帯で需要があり、モジュール方式で購入・建設が可能な点や大型炉よりも初期投資が少なくて済む点、少数の従業員で運転可能な点などにメリットがある。このため、2017年4月に公表した今後10年間の「長期戦略」では、管理サイト内でのSMR実証炉建設を戦略的イニシアチブの1つに指定。同年中に技術開発業者から最終的に19件の関心表明を得た後、2018年4月に募集した第1回目の建設提案に対し、国内外の4つのSMR開発業者から提案があったと同年6月に発表していた。

 今回、テレストリアル社とスターコア社はプロセスの第1段階にあたる「認定前段階」を成功裏に終了しており、CNLは第2段階の「適正評価段階」に進むよう勧誘した。ここでは、一層厳格な評価が設計の技術面と事業面の利点に関して行われる予定で、建設プロジェクトの財政的実行可能性や、国家安全保障面と健全性に関する要件についても審査を行うことになる。
 また、OPG社およびGFP社とUSNC社のチームは、同プロセスの第3段階として、用地の手配やプロジェクトのリスク管理、その他の契約に関する包括的な事前協議をCNLと実施する。このような交渉はプロジェクトが承認されたことを意味するわけではなく、提案者はその提案内容について、さらに厳しい審査を受けることになる。

 プロセスの最終となる第4段階では、実際の実証炉建設から試験と起動、運転、廃止措置まで移行していくが、CNLはすべてのプロジェクトに対して、規制上の要件や手続が課せられる点を指摘。原子力安全委員会の許認可プロセスは、CNLによる招聘や評価の影響を全く受けないため、プロジェクトが許認可申請段階に進んだ場合、提案者は地元住民や先住民コミュニティに意見を求めるなど、実効性のある交流を持たねばならないとしている。

 (参照資料:CNLの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月20日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)