米ホルテック社のSMR開発チームにエクセロン社、ウクライナとはコンソーシアム結成へ

2019年2月22日

©ホルテック・インターナショナル社

 米フロリダ州を本拠地とするホルテック・インターナショナル社は2月19日、独自に開発中の小型モジュール炉「SMR-160」のチームに、米国最大の原子力発電事業者であるエクセロン・ジェネレーション社が新たに加わることになったと発表した(=写真)。
 また、ウクライナ国営原子力発電公社であるエネルゴアトム社との協力では、同国内で建設するSMR-160の実行可能性を調査するため、ウクライナ国立原子力放射線安全科学技術センター(SSTC-NRS)も交えた「コンソーシアム」が設置されるとしている。

 米国では現在、ニュースケール・パワー社が開発したSMR設計について、原子力規制委員会(NRC)がSMRとしては初の設計認証(DC)審査を実施中。ホルテック社の「SMR-160」についても、近々、DC審査が申請される見通しとなっており、今回の動きはそれに向けた大きな節目になると見られている。

 ホルテック社のSMR開発チームにはすでに、カナダ原子力公社(AECL)のCANDU炉(カナダ型加圧重水炉)事業を引き継いだSNC-ラバリン社や、日本の三菱電機などが参加。エクセロン社は今回、発電事業者として同チームに参加する了解覚書(MOU)を結んだもので、「SMR-160」の運転モデルをホルテック社らとともに開発していくことになる。
 エクセロン社のM.クレイ副社長は、「覚書の合意条項に基づき、この設計が市場に受け入れられるようホルテック社を支援する」と明言。全体的な建設スケジュールや要員計画を策定して、同設計の運転性や保全性の改善でホルテック社に貢献する考えを明らかにした。同社はまた、「SMR-160」設計が今後、世界中で建設されていくという見通しを持っており、原子力インフラが不足している顧客に対しては、原子炉の運転サービスを提供するとしている。

 ウクライナとのコンソーシアム設置構想は、2018年3月にホルテック社とエネルゴアトム社が結んだ協力覚書に基づき、エネルゴアトム社が計画しているもの。その際、エネルゴアトム社は「SMR-160」の国内建設と同技術の国産化を目指すとし、国内の許認可手続と既存の原子力発電所内で建設を進めると述べた。国内サプライヤーの能力を活用して、「SMR-160」用機器製造の一部を国産化する方針も示しており、同技術のプロモーションで製造拠点をウクライナに築きたいとしている。
 今回、エネルゴアトム社のY.ネダシコフスキー総裁は、同コンソーシアムを通じて、SMR-160設計の全体的な実行可能性を環境影響面と技術面の両方から探ると説明。同設計をウクライナのどの候補地に建設・運転した場合でも、国民の健康と安全を確実に保証していく考えを表明した。コンソーシアムにおける誓約条項については、近々、正式に採択した上で発表することになっている。

 同設計は現在、カナダ原子力安全委員会が提供する全3段階の予備的設計評価サービス(ベンダー設計審査)で、第一段階目の評価を受けているところ。ウクライナでも、国家原子力規制検査庁(SNRIU)が同設計の規制上の評価実施に向けて、調整を行うことになる。

(参照資料:ホルテック社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)