フィンランド規制当局、オルキルオト3号機の運転認可発給を勧告
フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)は2月25日、ティオリスーデン・ボイマ社(TVO)がオルキルオト原子力発電所で建設中の3号機(OL3)(PWR、172万kW)について、「安全に運転することが可能」との意見書を雇用経済省に提出した。
この評価はSTUKが同炉全体で実施した安全評価の結果に基づくもので、「運転認可の発給を阻むような障害は見受けられない」と説明。同炉の技術的、構造的な安全性に加えて、事業者であるTVOに関しても、従業員および組織全体としてOL3を安全に運転する準備が出来ていると結論付けた。これを受けたフィンランド政府は今後、運転認可発給の可否について最終的な判断を下すことになる。
2005年に本格着工したOL3は、世界初の欧州加圧水型炉(EPR)採用炉であったこともあり、規制関係書類の認証作業や土木工事などで想定外の時間を費やした。着工当初、2009年に予定されていた通常運転の開始日程は、昨年11月時点の最新スケジュールで2020年1月を予定。現在は起動試験が行われている。
OL3の設計運転期間は60年だが、発給される運転認可は申請書に明記されていた通り、当面2038年末までのものとなる。この制限は、OL3から出る使用済燃料と低・中レベル放射性廃棄物を中間貯蔵する施設の操業許可に準じて設定された。同発電所1、2号機用に建設されたこの中間貯蔵施設はすでに発電所敷地内で操業中であり、最終処分場が完成するまでの期間、OL3の廃棄物も同施設でTVOが保管する計画。最終処分場は現在、TVOとフォータム社が共同出資するポシバ社が、オルキルオトの地下500mの地点で2016年12月から建設中で、2020年代中の操業開始が見込まれている。
また、運転認可の発給にあたっては、最初の定期安全審査をTVOが2028年末までにOL3で実施し、STUKから承認を得ることが義務付けられている。燃料の装荷に関してもSTUKが別途、承認を行う必要があり、装荷に先立ちSTUKは、1次系の試験運転で認められた加圧器サージラインの振動を抑えるため、管理・点検を実施する計画。これには技術的な代替解決策が複数存在することから、STUKはTVOが選択した解決策を調査するとともに、その実施可能性試験や実際の作業についても監督する方針である。
(参照資料:STUKの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)