米エネ省、高温ガス炉用燃料製造工場建設に融資保証の適用申請を要請
米国で小型のペブルベッド高温ガス炉(HTR)「Xe-100」を開発しているX-エナジー社の3月14日付け発表によると、米エネルギー省(DOE)は同社に対し、2014年に公表した先進的原子力プロジェクトに対する政府融資保証・第2弾への適用申請書を提出するよう要請した。
この申請では、「Xe-100」で使用する3重被覆層・燃料粒子「TRISO」燃料の製造加工工場「TRISO-X」について、建設資金を確保することが目的となる。ウラン酸化物を黒鉛やセラミックスで被覆するTRISO燃料の技術は元々、DOEが開発したもので、工場が完成すれば世界でも類を見ないHALEU燃料(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)の加工施設になる。燃料事業の実施主体としては、同社はTRISO-X社を合弁事業体として起ち上げる方針である。
X-エナジー社の「Xe-100」は、熱出力20万kWで電気出力は7.5万kW。建設工期が短い上、組立作業も工場内で実施可能というモジュール式のHTRである。
DOEはすでに2016年1月、官民折半による新型原子炉概念の開発支援対象として「Xe-100」を選択しており、これを受けてX-エナジー社は、2017年3月から「Xe-100」の概念設計を正式に開始した。また、TRISO燃料の製造加工工場についても2018年11月、予備設計を共同で実施するため、ウラン濃縮企業のセントラス・エナジー社(旧USEC)と新たなサービス契約を締結している。
X-エナジー社によると、DOEから融資保証・第2弾への申請招聘を受けたことは、同社とDOE原子力局(NE)の間で結ばれていた既存の2つの協力合意にも適合している。「新型原子炉概念プロジェクト」における最初の協力合意では、X-エナジー社がDOEのオークリッジ国立研究所(テネシー州)で、「TRISO-X」の商業規模のパイロット・ライン設備を使って、TRISO燃料を製造加工する能力を実証した。2つめの協力合意では、商業規模の「TRISO-X」燃料製造加工工場について、予備段階の詳細設計と認可申請書を作成するとしており、2021年にも米原子力規制委員会(NRC)に許可申請を行うことになっている。
DOEによる今回の要請について、X-エナジー社のJ.クレイ・セルCEOは、「DOEとの連携を継続していくための良い基点になった」と歓迎。新型炉事業が世界中で台頭しているなか、同社はTRISO燃料を市場に供給する初のサプライヤーになると強調している。
(参照資料:X-エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、WNAの3月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)