2019年末にドイツでフィリップスブルク2号機が予定通り永久停止
ドイツでフィリップスブルク原子力発電所を所有・操業するEnBW社は1月1日、予定通りに2号機(PWR、146.8万kW)を2019年12月末日付けで永久停止したと発表した。同炉の閉鎖は改正原子力法に則ったもので、同社は2号機で廃止措置作業に直ちに着手。すでに2017年から廃止措置作業中の同1号機と同様、安全かつ迅速な作業展開を心がけるとしている。
2号機は1984年12月に送電開始してから、毎年約100億kWhを発電。35年に及んだ運転期間中の累計発電量は3,550億kWh以上に達しており、地元バーデン=ビュルテンベルク州における総電力需要量の6分の1を賄った。また、過去40年以上の間に、同発電所の2基で5,700億kWh以上を発電したとEnBW社は強調した。
2011年の福島第一原子力発電所事故を受けて、ドイツ政府は1980年以前に運転開始した古い商業炉7基と長期停止中だった1基を、安全審査のため直ちに3か月間暫定停止するよう地元州政府に指示。同年5月には、遅くとも2022年までに国内すべての商業炉17基を全廃することで与党が合意しており、フィリップスブルク1号機を含むこれら8基は、再稼働することなく2011年8月に早期閉鎖されている。
1980年代以降に運転開始した9基についても、このうち6基を2021年末までに閉鎖することが改正原子力法に明記された。これに基づき2015年にグラーフェンラインフェルト発電所、2017年にグンドレミンゲンB号機が閉鎖されたのに続いて、フィリップスブルク2号機も今回、予定通りの閉鎖となったもの。
EnBW社はすでに2012年、同炉の廃止措置に関する広範囲の包括的な戦略を策定しており、これを実行に移すための申請書を2016年初頭にバーデン=ビュルテンブルク州の環境省に提出した。同省は2019年12月19日に許可証を交付。これを受けてEnBW社は、2020年後半から10~15年かけて原子力システムや機器など、発電所全体の解体撤去を行う計画である。
(参照資料:EnBW社(独語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月2日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)