米ニュースケール社、同社製SMRでカナダのベンダー審査開始

2020年1月9日

 米オレゴン州のニュースケール・パワー社は1月7日、同社製の小型モジュール炉(SMR)について、カナダ原子力安全委員会(CNSC)が昨年12月から全3段階で構成される「許認可申請前設計審査(ベンダー審査)(VDR)」を開始したと発表した。

 同社が開発した「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」は現在、米原子力規制委員会(NRC)による全6段階の設計(DC)認証審査をSMR設計としては初めて、また唯一2017年3月から受けている。同審査は昨年12月にフェーズ4まで終了し、フェーズ5と6に進展中。技術面の審査がほぼ完了したことを示しており、同社は2026年までに初号機の運転開始を目指している。
 ニュースケール社はカナダでも同様に「NPM」を建設する考えで、ベンダー審査を実施するCNSCに対して12月10日付で最初の情報文書を提出した。同審査は建設・運転許可など正式な申請手続に先立ち、カナダの規制要件に対する対象設計の適合性をメーカー側の要請に基づいて評価するサービス。法的に有効な設計認証や関係認可が得られるわけではないが、カナダの顧客が将来「NPM」の建設許可をCNSCに申請する際、ベンダー審査が完了していれば技術面の審査を最大限効率的に実施することができる。
 同社のJ.ホプキンズ会長兼CEOは、「カナダでも当社製SMRを建設することへの関心が日に日に高まっている」と指摘。NRCに加えて、もう一つの確固たる規制当局から「NPM」の革新的な安全性能について徹底した評価を受けることにより、出力6万kWのモジュール連結で出力の拡大縮小が可能かつ経済性も高く、低炭素で安全なSMR技術をカナダの顧客に提供したいと述べた。

 「NPM」設計でベンダー審査を実施することは、2018年2月にCNSC側が公表していた。ニュースケール社としては、完成度の高い「NPM」の場合、同審査の第2フェーズから直接開始することができると認識。このため、第1、第2フェーズをまとめて受ける方針で、VDRで扱う19分野のうち、「一般的な採用プラントの説明」など4分野を初回の提出文書でカバー。これらは残りのVDR審査の基盤となる部分であり、最終段階の第3フェーズも含め、計4回提出する文書の残り3回分に関しては、それぞれ約半年ほど間隔を空けるとしている。

 ニュースケール社はカナダでの「NPM」建設に関して、オンタリオ州で原子力発電所の運転を担当するブルース・パワー(BP)社と2018年11月に覚書を締結しており、同設計をカナダ市場で売り出す際の投資対効果検討書の作成や許認可活動などの面で協力を得ている。また、カナダの商業用加圧重水炉19基のうち18基を所有するオンタリオ州営電力会社(OPG)社は、ニュースケール社の諮問組織に参加。カナダにおけるSMRの許認可手続や「NMP」建設、およびVDR等について、ニュースケール社に助言を提供している。

 (参照資料:ニュースケール社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月7日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)