GNF社、事故耐性燃料入り試験集合体を米国の商業炉に装荷

2020年1月16日

©エクセロン社

 米GE社と日立製作所の合弁事業体であるグローバル・ニュークリア・フュエル(GNF)社は1月14日、ノースカロライナ州のウィルミントン施設で製造したBWR用事故耐性燃料(ATF)の先行試験集合体(LTA)を、イリノイ州にあるエクセロン社のクリントン原子力発電所(107.7万kWのBWR)(=写真)に装荷したと発表した。
 この燃料集合体には、クロムとアルミニウム鉄合金の燃料被覆材「IronClad」、および標準型ジルコニウム被覆管に「ARMORコーティング」を施すという2つの技術による先行試験燃料棒(LTR)が含まれているが、3種類の「IronClad」被覆管に酸化ウラン燃料を充填して装荷したのは今回が初めてとなる。
 同社は2018年にも、これらのソリューションに基づくLTR入り集合体をジョージア・パワー社のE.I.ハッチ原子力発電所1号機(91.1万kWのBWR)に装荷したが、「IronClad」のLTRには酸化ウラン燃料を充填していなかった。

 このようなATF開発は、米エネルギー省(DOE)が福島第一原子力発電所事故の教訓から、2012会計年度予算で開始した「ATF開発プログラム」の下で行われている。GNF社のほかに、フラマトム社やウェスチングハウス(WH)社、ライトブリッジ社などが産業界から参加協力。2022年頃まで3段階でATFの開発・実証戦略を進めることになっている。

 GNF社の「IronClad」技術はこれまでのATF技術との比較で、様々な条件下における一層優れた材料挙動と確実な耐酸化性の確保を目的としている。高温状態のなかで燃料や部材の酸化速度を抑えることができれば、安全性の限界マージンをさらに改善できると同社は指摘。クリントン発電所に装荷された「IronClad」燃料棒のうち、1種類についてはGE社の研究開発部門が開発に協力しており、燃料棒の製造に繋がるエンジニアリング支援や成形加工機器を提供中である。
 GNF社はまた、「ARMORコーティング」によって燃料棒をデブリによる表面損傷からさらに防護することを目指しており、この技術で一層優れた材料挙動と確実な耐酸化性の確保することが可能であり、摩耗耐性や安全性マージンの改善に導く魅力的な技術になると強調している。

 (参照資料:GE社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月15日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)