トルコのエネルギー相、シノップ原子力発電所建設計画で他のサプライヤーを検討中
トルコのF.ドンメズ・エネルギー・天然資源相(=写真)は1月20日、三菱重工業と仏アレバ社(現フラマトム社)の合弁企業ATMEA社が110万kWのPWR×4基を供給予定だった黒海沿岸のシノップ原子力発電所建設計画について、別のサプライヤーに建設を依頼する可能性があることを同省のウェブサイトで明らかにした。同計画については、主要パートナーの三菱重工が実行可能性調査を実施してトルコ側に提出したが、建設予算と完成スケジュールの調査結果は同省の期待に添うものではなかった。このため同省は現在、建設パートナーの再評価を行っているところで、パートナーを変えて計画を進める事を検討中だとしている。
4基分で総額200億ドルのシノップ計画では初号機を2017年に着工し、2023年に運転開始することが予定されていた。しかし、安全対策費の高騰などから総事業費が当初予定の2倍以上になるとの見方が広がり、発電電力の買取でトルコ電力取引・契約会社(TETAS)が支払う価格ではコストの回収が難しくなった模様。これにともないメディアでは、建設計画の受注が内定していた三菱重工業らの国際企業連合から伊藤忠商事が撤退したことや、三菱重工自身も建設を断念したことなどが1年以上前の段階で報じられていた。
一方、ロシアが受注したトルコ初のアックユ原子力発電所(120万kW級のロシア型PWR×4基)に関しては、2018年4月に1号機が本格着工して以降、建設計画は順調に進展。ロシアの建設事業者は昨年12月、同発電所をトルコの送電グリッドと接続する契約を国営送電会社(TEIAS)と締結した。
同炉は2023年に運転開始予定だが、その約1年後に運転開始する2号機についても、トルコの規制当局が昨年8月に建設許可を発給している。ドンメズ・エネルギー・天然資源相によると、2号機の建設工事はまもなく開始されることになっており、続く3号機についてもプロジェクト企業が昨年、建設許可を申請。トルコの規制当局が現在、同炉の部分的建設許可の発給作業を進めているとした。この許可の下では、原子炉系統の安全性に関わる部分を除き、すべての建設工事が可能になる。
(参照資料:トルコのエネルギー・天然資源省(トルコ語)、半国営アナトリア通信(英語版)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)