医学用RI不足問題:カナダNRU炉の運転再開は2010年第1四半期に
カナダ原子力公社(AECL)は8月12日、チョークリバー研究所内で停止し修理中のNRU炉(=写真)の状況について途中経過を公表し、NRU炉の運転再開は2010年の第1四半期にずれ込むとの見通しを明らかにした。
5月の重水漏れにより停止中のNRU炉は、医療用放射性同位元素(RI)の世界需要量の3分の1を供給していたことから早期の運転再開が待たれている。
AECLでは圧力容器の非破壊検査データを詳細に分析した結果、容器底部の九か所で修理が必要と判断。また、最近取得した高解像度検査データにより、容器壁面の減肉と局所的な穴には異なる腐食効果が認められ、腐食メカニズムの解明が必要になってきた。
この結果、今後さらに包括的なデータを得るため、AECLは容器底部のサンプルを採取し、さらなる試験を実施するとともに、第三者機関の腐食専門家による助言をフィードバックさせる必要があるとしている。
また、現在進行中の調査の状況では、修理か所の数と位置から見て、容器底部内側の広範囲な部分を帯状に肉盛溶接するのが耐久性の面からも一層効果的だとAECLは判断。ただし、肉盛溶接を行わずに対処する第二の修理技術についてもさらに検討中となっている。
このように、検査データの最新分析や修理戦略の策定状況、修理計画における要求事項などにより、AECLではNRU炉の運転再開は今年末頃という二か月前の予測からさらに遅れ、2010年の第1四半期になるとの見方を示している。