既存炉の運転認可は延長せず 台湾
台湾の馬英九総統は3日に今後の新たな原子力政策を発表し、現在運転中の原子炉で40年の運転認可が切れた後はこれらを延長せず、「原子力のない社会」に向けて段階的に手順を進めていくとの方針を明らかにした。
同総統の国民党政権は元来原子力推進派であり、建設工事が長引く龍門原子力発電所の早期運開を目指している。しかし、福島事故発生を受けて同原発建設に反対する大規模なデモが展開され、来春に実施を控えた総選挙および総統選挙戦でも原子力が争点として浮上。こうした背景から、野党・民進党が打ち出した脱原子力政策寄りの方針を打ち出さざるを得なくなったと見られている。
ただし、同総裁は龍門原発については福島事故の教訓から追加の改善策を手当中だと強調。厳しい安全要項をすべてクリアすれば営業運転を開始させると約束した。また、同原発の運開後は原子力開発利用計画全体も含めた国家エネルギー政策を4年毎に見直しし、原子力の廃止を決定してしまう前に電力の使用制限等の影響について検討すると説明。「原子力のない社会」を実現する具体的な日程目標には言及しなかった。