カナダ4州の「小型モジュール炉展開の戦略計画」

2022年4月21日

カナダのオンタリオ(ON)州、ニューブランズウィック(NB)州、サスカチュワン(SK)州、およびアルバータ(AB)州の4州は3月28日、「小型モジュール炉展開の戦略計画 ”A strategic plan for the deployment of small modular reactors” 」を発表しました。ON州、NB州、SK州の3州が2019年12月に小型モジュール炉(SMR)の開発に関する協力覚書を締結し、それに基づき、それぞれの州営電力に委託して「SMR開発の実行可能性調査(FS)」を行いました。2021年4月にFS結果が公表されるとともに、新たにアルバータ州が協力覚書に参加しています。

©Goverment of Ontario, New Brunswick, Alberta and Saskatchewan

4州は、当面のSMR開発・展開について3つのストリームを示しています。

・ストリーム1
-2028年までにON州ダーリントン原子力サイトにグリッド接続型の30万kW炉建設
-その後、サスカチュワン州で4基建設(最初の1基は2034年運転)
-炉型として2021年12月、3候補の中からGE日立のBWRX-300(30万kW)を選定
・ストリーム2
-2種類の第4世代の先進SMRをNB州ポイントルプロー原子力サイトで開発
-ARCクリーン・エナジー社の高速炉ARC-100(10万kW)を2029年までに運転
-モルテックス・エナジー社の溶融塩炉SSR-W(30万kW、WATSS併設)を2030年代初頭までに運転
・ストリーム3
-遠隔地や鉱山でのディーゼル発電に代替するマイクロSMRをON州チョークリバーで開発
-オンタリオパワー(OPG)がUSNCの小型高温ガス炉(0.5万kW)を2026年までに運転
-ブルース・パワー社がウェスチングハウス社のeVinciTMを2020年代半ばに運転

これらの開発・展開を通じて、SMRはカナダの電力需要を満たすのに役立つだけでなく、温室効果ガスの排出量削減に貢献し、さらにカナダを世界のリーダーに押し上げることが期待されています。4州は戦略計画で、連邦政府の確固とした協力・連携が不可欠であると指摘し、特に、①技術の準備、②規制の枠組、③経済と資金調達、④放射性廃棄物管理、⑤先住民と公衆の関与、の5つの優先分野に取り組む必要があるとしています。

戦略計画の内容構成は、以下のとおりです。(括弧内は仮訳の有無を示しています)

1. SMR戦略計画-エグゼクティブ・サマリー(仮訳)
2. 前書きと行動の必要性(省略)
3. 州のSMRへの関心(仮訳)
4. SMR展開に関する主な考慮事項(一部仮訳)
5. 連邦政府との協力(仮訳)
6. 州のSMR展開戦略(仮訳)
7. 次のステップ(仮訳)
8. 付録(省略)

報告書の仮訳は、こちらからご覧いただけます。

以上

お問い合わせ先:情報・コミュニケーション部 TEL:03-6256-9312(直通)