COP27・原子力関係活動参加報告
原産協会は11月6日~20日にエジプト・シャルムエルシェイクで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に職員3名を派遣しました。今年は国際原子力機関(IAEA)と原子力産業界団体6組織:カナダ原子力協会(CNA)、日本原子力産業協会(JAIF)、英国原子力産業協会(NIA)、米原子力エネルギー協会(NEI)、欧州原子力産業協会(NuclearEurope)、世界原子力協会(WNA)の協力のもとで初めて共同でパビリオンを設置し、同ブースを拠点として各国からのCOP27参加者等に対し原子力に関する訴求活動を行いました。また気候変動における原子力の重要性について理解活動を展開している「Nuclear for Climate」(N4C)の枠組みのもとでもブースを出展し、会場内でのPR活動やサイドイベントなどでの理解促進活動を行いました。
〇IAEA・6原子力産業界団体共同パビリオン(原子力パビリオン)
COP27メイン会場(Blue Zone)にある国・国際機関パビリオンエリアに広さ約100平方メートルのパビリオンを設置しました。「#Atoms4Climate」をスローガンにIAEAや産業界団体関係者によるイベント(パネルディスカッションや対話活動)、メディアインタビュー、各国の参加者とのネットワーキング、原子力関連情報の放映などを実施しました。
また、原産協会はCOP27開催期間中の11月16日、「現在の地政学的状況おける原子力発電の重要な役割に関する原子力産業界の共同声明」を、カナダ原子力協会、日本原子力産業協会、英国原子力産業協会、米原子力エネルギー協会、欧州原子力産業協会、世界原子力協会、ルーマニア原子力産業協会とともに発表しました。
〇COP27および原子力パビリオンで実施されたイベント
原産協会が関わった主なイベントは以下の通り ※( )は主担当組織
*全てのイベントのアーカイブ動画がこちらからご覧いただけます。
11月8日(火)
「原子力の展望:気候変動緩和への原子力エネルギーの貢献」(WNA)
11月9日(水)
「原子力パビリオンオープニングイベント」(IAEA)
「新規原子力施設の建設資金調達」(NuclearEurope)
11月10日(木)
「若手とDGグロッシーとの対話」(N4C)
「レジリエンスのあるネットゼロエネルギーシステムのための低炭素技術の相互作用」(IAEA)
11月11日(金)
「電力だけにとどまらないエネルギー全体の脱炭素化」(WNA)
「クリーンエネルギーの未来を促進するための政策措置」(NEI)
「雇用利益の創出および環境正義実現への原子力の役割」(NEI)
11月14日(月)
「原子力分野の女性リーダーたち」(N4C)
「原子力産業で働く女性の経験と女性に力を与えるクリーンエネルギー」(WNA)
11月15日(火)
「エネルギーミックスの実現に向けての協力体制」(WNA)
「ネットゼロの未来に向けた炭素市場の創出」(NEI)
「クリーンエネルギーミックスの実現における新しい原子力技術の役割」(NuclearEurope)
11月17日(木)
「COP27を超えて、持続可能な開発への原子力の貢献」(WNA)
<原子力産業界団体主催のCOP27公式サイドイベント>
11月16日(水)
「化石燃料なしでの開発は可能か? 」
「エネルギー課題への対応: 持続可能で安全な低炭素の未来における原子力の役割」
原子力パビリオンのオープニングイベントではグロッシー事務局長が挨拶を行い、パビリオンの協力機関に世界気象機関(WMO)や国連食糧農業機関(FAO)らも名を連ねていることを強調した上で、「気候変動対策への原子力の貢献に対する期待の表れ」であると指摘しました。また、将来世代を考えると「地球温暖化に対して楽観主義で対応するわけにはいかない」と強い決意を表明しました。
COP27および原子力パビリオンにおいて6原子力産業界団体が関わるイベントは10以上実施されましたが、そのうち4つのイベントで原産協会関係者が登場しました。
○「Nuclear for Climate」(N4C)の活動
当協会は、2015年にパリで開催されたCOP21に向け、世界150以上の原子力学協会と団体により結集されたN4Cイニシアティブに一年目から参加しています。今年もCOP27開催までにN4Cのコアメンバーである世界の原子力産業界団体と#NetZeroNeedsNuclearを掲げたSNSキャンペーンやポジション・ペーパーの公開等を通じて、原子力と再生可能エネルギーの協調を打ち出し、「2050年までに世界がネットゼロを達成するには原子力が必要」とのメッセージを発信しました。また昨年同様N4C単独のブースを出展し、若手を中心としたメンバーが会場内でネットゼロ達成に向けた原子力の果たす役割について積極的にPR活動を行いました。会場入り口付近にある広場ではフラッシュモブのパフォーマンスを披露し付近を通る参加者が人だかりとなり、大きな注目を集めました。原子力パビリオンではN4Cの若手とグロッシー事務局長の対話イベントも行われ、事務局長から「若手専門家が活躍できるよう支援することがIAEAの重要なミッションの1つであり、若い世代が活躍する場を我々世代が用意することもまた使命である」とのメッセージが送られました。
〇原産協会が行ったその他の活動
現地に派遣された原産協会職員は主に原子力パビリオンおよびN4C関連活動に参加しましたが、滞在中は原産新聞取材・記事作成や海外の原子力関係者へのインタビュー、原子力に関する理解促進の取り組みについての意見交換も行いました。このような活動を通じて海外関係者との友好関係を深めることができ、原産協会の今後の活動において必要となる人脈を築きました。
〇COP27における原子力に関する新たな動き
これまでのCOPでは、気候変動への対策として再生可能エネルギーの推進やエネルギー効率化について主に議論され、原子力が果たしうる役割については認められていない状況でしたが、昨年のN4Cブース出展をはじめ、今年はIAEAと6原子力産業界団体の共同パビリオンが初めて設置され気候変動対策として原子力技術の持つ可能性を詳しく解説する機会をつくりました。そのため、今年は例年に比べ世界中から多くのハイレベルな原子力関係者が集まり、原子力パビリオンだけではなく、COP公式イベント会場や複数の国のパビリオン(米国、カナダ、英国、フランス、エジプト、UAEなど)でも原子力関連のサイドイベントが行われ、原子力は世界の脱炭素化に役立つエネルギーだと積極的にアピールする機会となりました。急速な気候変動や地政学的な状況が変わったことを受け、原子力が果たす役割が確実に見直されているということを強く感じました。
*COP27特集:COP27 in Sharm El-Sheikh, EGYPT 2022
*理事長メッセージ:「パリ協定の目標達成に向けた原子力発電の役割―COP27―」
*過去Nuclear for Climate(N4C)関連活動の詳細は、こちらをご覧ください。
*IAEA @COP27ページ: Events and Event Participation 2022
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)