G7サミットに向け世界の原子力産業界団体が声明を公表「原子力はエネルギー安全保障を強化し環境目標に貢献できる」
一般社団法人日本原子力産業協会
日本原子力産業協会は、2022年6月26日~28日にドイツで開催される「G7サミット」に向け、カナダ原子力協会、欧州原子力産業協会、米原子力エネルギー協会、英国原子力産業協会、世界原子力協会と共同で声明を公表しました。
原子力は、地球環境の持続可能性に関するコミットメントを達成するために不可欠であると同時に、世界のエネルギー安全保障のための重要な資産です。各原子力産業協会は、G7のリーダーに対し、ウクライナでの戦争の影響で深刻化したエネルギー危機により、エネルギー安全保障とクリーンエネルギーへの移行の取組が不可分であることが明確になったとして、原子力技術の重要性および活用に対する支援を求めました。
【共同声明本文】
Nuclear energy can enhance energy security and address environmental goals
【共同声明仮訳】
この声明は、カナダ原子力協会、欧州原子力産業協会、日本原子力産業協会、米原子力エネルギー協会、英国原子力産業協会、世界原子力協会が共同で公表したものである。
原子力はエネルギー安全保障を強化し環境目標に貢献できる
今日、世界は2つの大きなエネルギー問題に直面している。脱炭素化の目標を達成することと、世界中のすべての人々と企業が、信頼できる安価なエネルギーにいつでもアクセスできる公平な機会を確保することである。
緊急性を増す気候危機とエネルギー価格の不安定さがあいまって、原子力技術の重要性に注目が集まっている。原子力は地球環境の持続可能性に関するコミットメントを達成するために不可欠であると同時に、世界のエネルギー安全保障のための重要な資産でもある。ウクライナでの戦争の影響で深刻化したエネルギー危機により、エネルギー安全保障とクリーンエネルギーへの移行の取組が不可分であることが明確となった。
脱化石燃料というG7のコミットメントには、低炭素技術への投資とともに、クリーンで確実なエネルギーシステムへの移行をさらに加速させる強力な政策が必要となる。原子力と再生可能エネルギーを組み合わせることで、電力部門の急速かつ長期的な脱炭素化が達成可能な目標になることが明らかになっている。
原子力は、脱化石燃料と公正かつ公平なエネルギー移行を目指す国々にとって、すぐに利用可能で、安価な、クリーンかつ信頼性の高い解決策である。原子力発電所の建設・運転によって、何千人もの高度な技術を必要とする雇用を生み出し、サプライチェーンを支え、地域経済を活性化させる。
発電のみならず、原子力技術は熱供給や水素製造を通じて、輸送、化学、鉄鋼など他の経済部門の脱炭素化にも大きな可能性を持っている。
よって我々は、G7のリーダーに対し、以下の通り原子力技術の活用に対する支援を求める。
- 現在世界中で稼働している原子炉の運転期間を可能な限り延長するよう奨励することと、稼働可能な原子炉の再稼働を支援することにより、脱炭素化およびエネルギー安全保障への貢献を最大化すること。国際エネルギー機関(IEA)によれば、既存の原子炉の運転期間を延長することは、さらなる低炭素電源を確保するために最も費用の少ない方法であるとされている。
- 国および国際的なグリーン資金調達政策の枠組みに原子力を含めること。原子力産業が気候変動との世界的な闘いの中で重要な役割を果たすことを金融界に明確に示す政策を実施すべき。これはG7諸国だけでなく、エネルギー需要の劇的な増加に伴い化石燃料からの転換を図るため、近代的かつ革新的な手段を求めている途上国経済においても重要である。
- 実用的な政策手段と効率的な規制枠組みに支えられた新規原子力設備容量の野心的な目標を設定し、将来のエネルギー供給に対するさらなる原子力技術の貢献にコミットすること。
- 発電部門を超えてより深く広範な脱炭素化を実現するために、原子力が利用できる分野を拡大する小型モジュール炉や他の先進的原子炉を含む新たな原子力技術の開発を支援すること。
この声明を発行している団体の詳細は以下のウェブサイト参照:
カナダ原子力協会
欧州原子力産業協会
日本原子力産業協会
米原子力エネルギー協会
英国原子力産業協会
世界原子力協会
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)