IAEAの原子力発電成長予測
気候、エネルギー安全保障をめぐる新たな変化を受け、2年連続で増加
国際原子力機関(IAEA)は2022年9月26日、世界の原子力発電の中長期的な傾向を分析した最新報告書「2050年までの世界のエネルギー・電力・原子力発電予測」(第42版)を公表しました。エネルギー安全保障と気候変動に対する懸念が高まるなか、エネルギーと環境に関する昨今の世界的な議論の変化を反映し、今後数十年間の原子力の成長に関する年次予測を2年連続で上方修正しました。
IAEAは、2050年までの世界の原子力発電設備容量に関する新たな見通しのなかで、2011年の福島第一原子力発電所事故以来、初めて年次予測を上方修正した昨年の報告書と比較して、高予測シナリオを10%あまり増加させています。
高予測シナリオでは、世界の原子力発電設備容量が、現在の約3.9億kWeのレベルと比較して、2050年までに8.73億kWe(net)と2倍以上増加すると予想、昨年の値よりも0.81億kWe増加しています。一方、低予測シナリオでは、設備容量は基本的に横ばいのままとなっています。
今回の報告書公表にあたり、ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、「私たちは今、より安全で安定したエネルギーを、安価に供給する社会へと移行しようとしている」「気候変動とエネルギー危機の影響に牽引されて、各国政府は原子力発電を支持してポートフォリオを再考している。しかし、高予測シナリオを達成するためには、規制と産業の調和、高レベル放射性廃棄物処分の進歩など、多くの課題に取り組む必要がある」と述べています。
報告書の詳細については、こちらからご覧いただけます。
お問い合わせ先:情報・コミュニケーション部 TEL:03-6256-9312(直通)