未来の原子力に向けて、米原子力エネルギー協会と共同声明を発表
一般社団法人日本原子力産業協会
日本原子力産業協会と米原子力エネルギー協会(NEI)は米国にて、現地時間の2022年10月26日、「未来の原子力に向けた日米産業界共同声明」を発表しました。
原子力は脱炭素社会の実現とエネルギー安全保障の確保に不可欠なエネルギー源であり、原子力先進国である日米の産業界は、世界的な原子力の安全かつ核セキュリティが確保された形での原子力利用促進に貢献できます。
日米原子力産業界は、日米協力に基づく第三国への導入を加速するために、日米両国の政府・金融機関から外交・産業政策・財政支援を得ることが重要と考えており、この共同声明を契機に、両国の原子力サプライチェーンを強靭化し、世界で安全性の高い原子力利用の促進に貢献していきます。
【共同声明本文】
【共同声明仮訳】
未来の原子力に向けた日米産業界共同声明(仮訳)
2022.10.26
今日、世界のエネルギー市場は、緊急性を増す気候危機への対応に加え、高まるエネルギー安全保障確保の要請という未曾有の課題に直面している。換言すれば、①カーボン・ニュートラル社会の実現を今世紀半ばまでに達成すること、そして、②国際秩序を擾乱する動きが昨今みられるなかで、安定的な経済成長の土壌となるエネルギー安全保障を持続的に確保することである。
原子力はこの2つの地球規模の課題を解決せしめる有力な手段である。つまり、原子力は、それ自体が低炭素のエネルギー源である。また、原子力は頑強で安定した電源であり、再生可能エネルギーと併せて活用することで、クリーンで確実なエネルギーシステムへの移行をさらに加速させることが可能となる。加えて、原子力技術は、発電のみならず、熱供給や水素製造を通じて、輸送、化学、鉄鋼など、他の経済部門の脱炭素化にも大きな可能性を持っている。
日米両国の原子力産業界の代表である我々は、原子力の脱炭素化及びエネルギー安全保障への付加価値を最大化するため、両国政府に対して、安全を前提に運転期間延長を含めて既設原子炉を最大限活用し、革新的な原子炉の研究開発、建設への支援の強化を要請する。また、原子力事業の中長期的な予見性を高め、設備・人材への投資を促進するために、日米両政府に対しては、市場・規制などの制度の改善や政策支援等を要請するとともに、(監督官庁を含む)金融界に対しては、グリーン資金調達の枠組における柱の1つに原子力を含めることで、脱炭素化及びエネルギー安定供給に貢献する原子力の役割が金融市場において適正に価値換算されるようなシステムの導入など、課題解決への金融インセンティブの強化を要請する。なお、これら全ての取組が、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故から得た教訓を礎とする、不断なる安全性向上の努力を前提とすることは言うまでもない。
日米の原子力産業の発展に責任を負う我々は、我々の今後の行動目標をここに宣言する。我々は、日米をはじめとする価値観を共有する国の事業者間での連携を深め、世界の原子力利用を促進する。具体的には、国際的秩序の擾乱に対応するため、相互信頼と共有する価値観のもとで結束する産業の協力により、原子力サプライチェーンを強靭化していく。また、我々は、小型モジュール炉(SMR)を含む先進的原子炉の世界展開で、両国政府が価値観を共有する他の国々と協力して必要な政策支援を行い、世界市場での産業競争力を実現するよう日米協力を促進する。
原子力がより一層社会に貢献する未来を目指しその実現にあらゆる努力を惜しまない我々は、今後も産業界が率先して両国政府に政策提言を行うこと、また、原子力が世界的な脱炭素化とエネルギー安全保障の活路を見出す手段としての価値を最大化するため、これらの提言の実行主体としての責任を果たすことを約束する。
日本原子力産業協会 Japan Atomic Industrial Forum 原子力エネルギー協会 Nuclear Energy Institute
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