世界の原子力発電プラントの運転期間の状況について
世界では今、気候変動やエネルギー・セキュリティに対処すべく、既設原子力発電プラントの健全性を確認したうえでの運転期間延長が進められています。その背景には、原子力発電の安全を担保する技術と知見が向上していることに加え、原子力発電のこれまでの良好な運転実績と供給信頼性に対する強い期待が挙げられます。
国際エネルギー機関(IEA)も喫緊の課題であるCO2の削減やエネルギーの安定供給には、原子力発電の活用は不可欠であり、既存の原子力発電プラントを40年を超えて運転することは、低炭素電源の中では経済性が最も高いと指摘しています。国際原子力機関(IAEA)のグロッシー事務局長も、「気候変動対策の影のヒーローは長期運転」だと強調し、これからは「100年の運転も可能」との見方を示しています。
当協会はこのほど、世界で40年以上稼働する原子力発電プラント(表)と世界の運転中原子力発電所の運転期間別基数(表)をとりまとめました。当協会の調べによれば、2023年1月1日現在、世界の原子力発電プラントは計33か国・地域で431基が運転中で、そのうち40年以上運転しているプラントは計15か国・109基あり、さらには50年以上運転をしているプラントは計4か国・15基あります。また米国の原子力発電プラントは全部で92基ありますが、その半数以上が40年を超えて運転中です。
世界全体でみると、約25%が40年を超え、2/3近くが30年超運転をしています。一方で、30~39年の範囲で運転しているプラントが6割を超える欧州(EU加盟国、スイス、英国)では、運転期間の延長を実施しない限り、今後10年間でCO2排出量が増大する可能性が指摘されています。
OECD原子力機関(NEA)によると、各国のプラントの運転期間延長に対するアプローチは様々ですが、米国では40年間の運転後、20年毎の運転期間延長が可能であり、その更新回数に制限はありません。フランスや英国では、10年毎の定期安全レビュー(PSR)を行い、安全上の義務を履行する限り、運転の制限はありません。
詳細は下記よりご覧いただけます。
OECD/NEA 各国の原子力発電所の運転期間(初期運転期間と延長運転期間)の制度的枠組(表)
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