G7広島サミットについて

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

日本の岸田首相が議長を務めるG7広島サミットが5月19日から21日まで開催された。議論の総括として発出されたG7広島首脳コミュニケでは、原子力は「化石燃料への依存を低減し得る低廉な低炭素エネルギーを提供し、気候危機に対処し、及びベースロード電源や系統の柔軟性の源泉として世界のエネルギー安全保障を確保する」とされ、その役割の重要性があらためて確認された。

その上で、安全な長期運転を含めた既存の原子炉の安全、確実、かつ効率的な最大限活用、高度な安全システムを有する小型モジュール炉及びその他の革新炉などの原子炉の開発及び建設の支援、核燃料を含む強固で強靭な原子力サプライチェーンの構築、原子力技術及び人材の維持・強化などにコミットされたことは大変意義深い。

また、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業について、科学的根拠に基づき国際原子力機関(IAEA)とともに行われている透明性のある取組として歓迎が表明され、多核種除去システム(ALPS)処理水の放出が、IAEA安全基準および国際法に整合的に実施され、人体や環境にいかなる害も及ぼさないことを確保するためのIAEAによる独立したレビューを支持すると明記されたことは、廃炉作業の着実な進展および福島の復興に向けて大変心強い。

当協会は、G7広島サミットに先立って開催されたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の機会を捉え、4月16日、「国際原子力フォーラム(The Nuclear Energy Forum)」を、米原子力エネルギー協会と共同開催した。その中で5か国の大臣の臨席の下、カナダ原子力協会、米原子力エネルギー協会、英国原子力産業協会、 欧州原子力産業協会、世界原子力協会とともに、G7のリーダーに対し共同声明を発表した。

この共同声明では、地球環境の持続可能性およびエネルギー安全保障に対し多大な役割を果たす原子力の活用に向けて、原子力産業界の決意と各国政府への要望をとりまとめ発信している。

原子力産業界は、G7で確認された原子力の役割の重要性に鑑み、気候危機への対応とエネルギー安全保障の確保に向けて原子力を最大限活用すべく、世界の原子力産業界と協力しながら引き続き取り組んでまいる所存である。

以上

<参考>

G7広島サミット成果文書

https://www.g7hiroshima.go.jp/documents/

国際原子力フォーラムにおける共同声明の発表について

https://www.jaif.or.jp/information/jaif-g7

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