高浜発電所1、2号機の再稼働について
一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗
8月2日、関西電力高浜発電所1号機が再稼働した。新規制基準(*1)の下で再稼働したプラントは計11基となり、運転開始から40年を超える原子力発電所の再稼働(*2)は国内2例目となる。
高浜発電所1号機は、2011年1月10日より第27回定期検査を実施中であったが、その最中に東日本大震災が発生した。その後、新規制基準への適合審査、安全性向上対策工事および特定重大事故等対処施設の設置を経て、この度の再稼働となった。
12年余りに及ぶ停止期間中には、地元の高浜町、福井県の皆さまとの40年超えプラントの再稼働に関する緊密なコミュニケーションが行われたという。再稼働に理解を示して頂いた地元の皆さまへ感謝の意を表するとともに、原子力の安全な利用に向けた関係者の努力に敬意を表したい。
関西電力では、すでに美浜発電所3号機、大飯発電所3、4号機、高浜発電所3、4号機が再稼働している。40年を超えた1例目の美浜発電所3号機も、順調にプラントの運転実績を積み重ねている。こうした安全・安定運転実績の積み重ねが、地元をはじめ国民の皆さまの原子力への信頼を深めていただくためにとても大切である。
現在、高浜発電所2号機においても再稼働に向けた取組みが進められているが、関係者の皆さまには、引き続き安全最優先で作業を進めていただきたい。
2022年12月に取り纏められた「GX実現に向けた基本方針」では、電力の安定供給確保のため当面7基の稼働を目指すとされた。前述の高浜発電所1、2号機に続き、さらに5基で安全対策工事等が進められている(女川2号機、島根2号機、柏崎刈羽6、7号機、東海第二)。これらにおいても、地元の皆さまの理解と信頼を第一に、安全最優先で作業を進めていただきたい。
原子力産業界は、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を生かし、たゆまぬ安全性向上に努め、安全・安定運転の実績を積み重ね、国民の皆さまに信頼いただけるよう引き続き取り組んでまいる所存である。
以上
*1 東京電力福島第一原子力発電所事故の反省や国内外からの指摘を踏まえて策定された新しい規制基準。
*2 新規制基準では、40年を超える原子力プラントの運転期間の延長に際して、通常の点検・検査に加え、取り替えが困難な「原子炉容器」、「原子炉格納容器」、「コンクリート構造物」の健全性を確認する特別点検、これらも踏まえた高経年化技術評価により、延長期間における運転に問題がないことを確認することが求められている。高浜発電所1、2号機は、運転開始後40年を迎える前にそれぞれ特別点検および高経年化技術評価が実施され、今後もプラントを健全に維持することが可能であることについて確認し、原子力規制委員会が2016年6月20日に認可している。
<参考>
高浜発電所1,2号の40年超の運転に係る審査結果などについて(原子力規制委員会)
https://www.city.maizuru.kyoto.jp/kurashi/cmsfiles/contents/0000007/7362/03kiseicho.pdf
高浜発電所1号機の並列について(関西電力株式会社プレスリリース)
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2023/pdf/20230802_2j.pdf
原子力発電(1)再稼働に向けた安全性のさらなる向上と革新炉の研究開発(経済産業省資源エネルギー庁ホームページ)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu07.html
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