「学生シンポジウム2024」開催に協力しました。(報告)
原産協会は、10月29日(水)より三日間の日程で京都大学複合原子力科学研究所にて開催された日本原子力学会学生連絡会主催「学生シンポジウム2024」に、関西原子力懇談会とともに共催として協力しました。
日本原子力学会学生連絡会(※1)は、日本原子力学会の春の年会・秋の大会における「学生ポスター発表」の企画運営、幌延町での「地層処分研究施設の見学会」等、原子力を学ぶ学生に向けて様々な知識や経験を得られる場の提供に努めていますが、学生連絡会のメンバーから「知識や経験を得られる場をもっと提供してほしい」との声を受け、昨年度より新たな活動として、より大規模で広範な情報提供・学びの場として「学生シンポジウム」を開催しています。第1回目は2024年3月に核融合をテーマに九州大学筑紫キャンパスで実施されました。
第2回目となる今回のテーマは「アクチノイド元素の化学・物理を通して学び考える再処理、核変換の今と未来」とし、アクチノイド化学、物理の最先端研究を紹介する場としました。3日間のプログラムには、京都大学教授や専門家による「アクチノイド元素はどうやって発見されたのか?」(化学的性質と物理的性質の基礎)や「アクチノイドでがん治療」「ホウ素や中性子でがん治療」といった医学利用に関する講義の他、2か所の施設見学(京都大学研究用原子炉(KUR)、原子燃料工業(株)熊取事業所(PWR原子燃料の製造))、原子力や放射線利用関連企業11社による事業紹介、学生からの話題提供として「留学、海外インターン経験談」の報告、また、日本原子力学会シニアネットワークメンバーによる「核燃料サイクルにおける再処理」等の講義や学生とシニアの対話会など、多岐にわたるプログラム構成にて実施され、全国各地より、原子力専攻に限らず様々な学科の学生約30名が集まり、活発な質疑応答、議論が交わされ、三日間のシンポジウムは学生及び企業側の満足度も高く成功裏に終了しました。
シンポジウムの企画を中心的に進めてきた学生・京都大学博士2年 齋藤巧さんは、「原子力産業を担う学生および企業の人材が減少している。原子力はフロントからバックまで全体を考える事が出来る人材が必要なので、そのような人材を増やしていかなくてはいけない。学生の側からアプローチ出来る事はないかと考えて企画した。」とし、「テーマとしてアクチノイドを選んだ理由は、自分自身の専門がアクチノイドである事、そして、原子力産業全体として、ウランやプルトニウム、また、軽水炉から発生するマイナーアクチノイドをどうやって処理していくのか、この先、100年、200年先まで続く課題だと思う。アクチノイドという一般的なネーミングから、原子力を学んでいない学生も巻き込んで、核燃料サイクル全体を考えてくれる学生を増やしていきたい、そのような思いでタイトルを考えた。」と語りました。
コアメンバーとして活躍していた学生連絡会副会長 京都大学修士2年 嵯峨稔己さんは、シンポジウム終了後、「コロナ禍でイベント開催のノウハウが失われた状況で試行錯誤を繰り返しやってきたが、結果として、学生や企業参加者に満足してもらえ良かったと思う。イベント開催の目的の一つが、原子力専攻以外の学生にも原子力に興味を持ってもらう事だったが、「今回の経験を通して原子力の魅力を知ることができた」という学生もいた。」と振り返り、同じく、コアメンバーの福井大学修士1年 野志勇介さんは、「人材が減少していると言うが、優秀な学生は沢山いて、そういった学生に原子力産業を選んでもらえないのが課題だと思っている。学生と企業との接点が限られていて、学生は、自分が企業側から求められているという意識を持つことができないのではないか。学生が求められているという意識を持つ事が出来るように、交流の機会を増やしていけば、原子力産業を将来の職業として選んでもらえるのではないか。学生と企業の繋がりを大事にしていきたい。」と産業界への期待の言葉で締めくくりました。
原産協会では、引き続き、このような原子力産業を志す学生の活動の支援、学生と原子力産業界の交流の場作りの支援を行ってまいります。
※1原子力学会学生連絡会
日本原子力学会 学生連絡会 | AESJ Student Network
日本原子力学会 学生連絡会 – シンポジウム1日目には、 京都大学原子炉実験所の見学にも参加していました。… | Facebook
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