ウクライナの原子力発電所の状況 #31
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第108号(現地時間2022年9月29日)[仮訳]
ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、国際原子力機関(IAEA)が今週、紛争下にあるウクライナの原子力安全とセキュリティ確保に向けた取組の一環として、同国への新たな機材搬入を計画していることを明らかにした。今回の搬入は、過去数か月で3回目。
グロッシー事務局長によると、昨日スウェーデンから寄贈された機材とフランスと米国からの特別予算による支援でIAEAが調達した物品が数日中に到着する予定だという。
今回の搬入により、ウクライナ規制当局やエネルゴアトムなど国内5つの組織に、放射線モニタリング機器や携帯電話、ポータブル電源システムなど、ウクライナが要請した機材が届くことになる。
今月初めには、ハンガリー、ルーマニア、スペインから提供された放射線モニタリング装置や個人防護具など、2回目の大規模な支援物資が到着している。これは、7月にオーストラリアから提供され、フランスの支援で調達された機材の搬入に続くもの。
寄贈された機材は、IAEAの緊急時対応援助ネットワーク(RANET)を通じて提供されたもので、放射線の線量評価や除染、原子力施設の評価と助言、放射性物質の探索と回収など、さまざまな分野で各国が支援能力を登録できるようになっている。またIAEAも独自に、機材の調達を行っている。
また本日、ザポリージャ原子力発電所(ZNPP)に駐在するIAEA専門家は、発電所の周囲を囲むフェンスの外でさらに2つの地雷が爆発したとの報告を受けた。一連の地雷の爆発は今週に入って今回で5回目。1つ目は昨日(9/28)午後、原子力発電所の冷却に不可欠な水を供給する水路付近で発生したが、被害はなかった。2つ目の爆発は本日(9/29)午後1時、1号機から約500メートルのところで発生した。大きな被害はなかったが、さらなる調査が待たれる。今週IAEAが報告した3回の地雷爆発は、いずれも動物によるものとみられている。
グロッシー事務局長は、過去2か月間、頻繁に砲撃が行われている欧州最大の原子力発電所ZNPPの近くで、このような地雷の爆発が繰り返されていることに、改めて深い懸念を表明している。
ザポリージャの原子力安全、セキュリティ、保障措置の現況
―IAEA事務局長による第2回サマリーレポート(2022年9月6日発表)から抜粋―
※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)
※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日
ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~
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