ウクライナの原子力発電所の状況 #104


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 188号(現地時間20231013日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長が本日明らかにしたところによると、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)では、熱供給のために2号機が温態停止に移行している。

欧州最大の原子力発電所であるZNPPは、昨年9月に送電網向けの発電を停止した。本年4月以来、5基の原子炉を冷温停止状態にし、液体放射性廃棄物を処理するための蒸気を供給し、ほとんどの発電所スタッフが居住する近隣の町エネルホダルに温水を供給するために、現在4号機の1基だけを温態停止状態にしている。冬季に備えて、ZNPPでは今週、5号機の安全保守と試験を実施した後、5号機の温態停止への移行を開始した。

5号機の温態停止期間については、数日内に始まる暖房シーズンの様子を見ながら決定される。なお、追加のユニットを温態停止に移行する計画はないという。

IAEAはZNPPに対し、4か月前のカホフカダムの破壊によりサイトの冷却水の供給が制限されたこともあり、ZNPPのニーズをカバーし、すべての原子炉を冷温停止状態に維持するよう、代替の外部ボイラーを設置するよう強く求めている。

現地のIAEA専門家らは、ZNPPが候補サプライヤーに仕様書を送り、外部ボイラーを購入するプロセスを開始したとの報告を以前に受けていた。ただし、このボイラーの設置は、2024年の前半まで、おそらく暖房シーズンの終了後まで予定されていない。

既報の通り、ウクライナの国家規制当局であるウクライナ国家原子力規制検査局(SNRIU)は6月、ZNPPの全6基の運転を冷温停止状態に制限する規制命令を発令している。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-188-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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