ウクライナの原子力発電所の状況 #115
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第199号(現地時間2023年11月29日)[仮訳]
ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナに駐在する国際原子力機関(IAEA)の専門家から、ザポリージャ原子力発電所(ZNPP)以外のサイトで、終夜にわたる軍事行動について報告があったことを明らかにした。このことは、軍事紛争中、ZNPP以外のその他の原子力発電所においても、原子力安全およびセキュリティに潜在的な危険性があることを再び浮き彫りにしている。
ウクライナ西部では、フメルニツキー原子力発電所の状況を監視しているIAEAチームが、昨夜遅くに宿舎にいる間、20分間にわたり、至近距離で数回の爆発音を耳にしたことを報告した。
グロッシー事務局長は、次のように述べた。
「プラントには直接的な影響はなかったものの、この出来事はウクライナのすべての原子力発電所が、戦争が続く限り、リスクに晒されたままであることを示している」
「世界の注目の多くは当然のことながら、ZNPPが直面している非常に現実的な危険性に集中しており、最前線にあるZNPPが特に懸念されている。しかし、昨晩の出来事は、ウクライナのその他の原子力サイトもミサイルなどの攻撃に晒される可能性があることを忘れてはならないことを思い出させてくれた」
「ウクライナの原子力施設すべてが、ミサイルが直撃した場合には直接的に、あるいは外部電源による電力供給が中断された場合には間接的に、脆弱なままである。ウクライナ全土で、原子力安全およびセキュリティの状況が非常に不安定な状況が続いている」
IAEAチームの報告によると、ZNPPでは本日午後、サイトで10分ほど空襲警報が続いた。空襲警報の間、チームは衝撃音を耳にしておらず、サイトへの被害はなかった。 ここ24時間にわたって、IAEAチームはプラントから少し離れた場所で爆発音を継続して耳にしている。
IAEAが常設チームを設置しているその他のリウネ原子力発電所、南ウクライナ原子力発電所、チョルノービリ・サイトでは、IAEAチームからの軍事行動に関する報告はない。
※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)
※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日
ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~
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