ウクライナの原子力発電所の状況 (8月6日)(現地時間) #13
※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)
※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日
ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第88号 2022年8月6日(一部仮訳)
ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、金曜日のウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)での砲撃について重大な懸念を表明する声明を発表し、IAEAが同サイトに原子力安全、セキュリティ、保障措置の専門家ミッションをできるだけ速やかに派遣できるようにすることが極めて重要である、と改めて強調した。
ウクライナによるIAEAへの報告によると、砲撃によりプラントの外部電源システムが損傷したが、2つの送電系統が引き続き使用可能であることを事務局長は明らかにした。また運転中3基のうち1基の緊急保護システムが作動、ウクライナによると、金曜日の砲撃により、この原子炉の送電網への接続は解列された。
ウクライナはまたIAEAに対し、原子炉本体への損傷や放射性物質の放出もなく、また負傷者もいないことを報告した。しかし、プラントの運転を支援する窒素・酸素ステーションと補助建屋が損傷したという。消防士が同ステーションの火災を速やかに消火したが、まだ修理が必要である、とウクライナは述べている。IAEAはまた、使用済燃料貯蔵施設付近で砲撃があったとの情報も得ている。
ウクライナによると、土曜日の朝、ZNPPの6基中2基が運転中で、放射線の状況も正常であるという。
グロッシー事務局長は、利用可能な限定的な情報に基づき、IAEAの専門家が現在のZNPPの原子力安全、セキュリティの状況は安定しており、原子力安全に対する即時の脅威はないと思われる、との予備的評価を行ったことを明らかにした。
IAEAは今後も、状況の進展や修理の進捗状況、サイトの原子力安全への影響を注意深く監視していく、とグロッシー事務局長は述べた。
グロッシー事務局長は声明のなかで、欧州最大の発電所であるZNPPの安全を脅かすいかなる軍事行動も完全に容認できず、避けなければならないと述べている。
IAEAは紛争が始まる5か月以上前から、ウクライナ南部にあるロシア占領下にある施設を訪問することができないでいる。
グロッシー事務局長は、同サイトへのIAEAミッションの派遣に向けた取組を継続し、このことが原子力安全とセキュリティの状況の安定化につながると強調した。
保障措置関連では、事務局長によると、IAEAは運転中の4つの原子力発電所からの遠隔保障措置データを継続して受信しているものの、チョルノービリ原子力発電所からの保障措置データの転送は部分的に失われているという。
ウクライナによるIAEAへの本日付の報告によると、全15基中10基が現在、送電網に接続中。内訳はザポリージャ2基、リウネ3基、南ウクライナ3基、フメルニツキー2基の計10基。
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