ウクライナの原子力発電所の状況 #158
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第242号(現地時間2024年8月11日)[仮訳]
ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)に駐在する国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは夜通し、何度も爆発音を耳にした後に同プラントの北西エリアから濃い黒煙が上がっているのを目撃した。専門家チームは、プラントの冷却塔の1基が本日ドローン攻撃を受けた疑いがあるとの情報を入手したが、IAEAのラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、原子力安全への影響はないことを確認している。
IAEA専門家チームは本日爆発音を聞いたと報告し、それと同時にZNPPから、ドローンがプラントの2基の冷却塔のうちの1基に衝突したらしいとの報告を受けた。
IAEAザポリージャ支援/調査ミッション(ISAMZ)は、今回の事象の程度と原因を突き止め、被害状況を確認するために、冷却塔への速やかなアクセスを要請している。
ZNPPには、境界外の冷却池の北側に2基の冷却塔がある。冷却塔は、プラントの運転中に使用されるため、冷却塔の損傷は、冷温停止中の6基の原子炉の安全性に直接的な影響はない。ただし、サイト内またはその付近で発生した全ての火災には、安全上重要な施設に延焼するリスクがある。
ZNPPは、攻撃のあったとされるエリアの付近には放射性物質がないため、放射線レベルが上昇するリスクはないことをIAEA専門家チームに確認した。専門家チームは、独自に放射線レベルを調査し、変化がないことを確認した。 グロッシー事務局長は、ZNPPに対するいかなる軍事行動も、2023年5月に国連安全保障理事会で定められた同施設を守るための5つの具体的原則に明らかに違反するものだと改めて強調した。
※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)
※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日
ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~
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