ウクライナの原子力発電所の状況 #160


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第244号(現地時間2024年8月13日)[仮訳]

ラファエル・マリアーノ・グロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長は、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)に駐在するIAEAザポリージャ支援/調査ミッション(ISAMZ)の検証結果として、12日の火災は冷却塔の基部で発生したものではないとの見方を示した。 

ISAMZは、昨日の火災現場の視察に続き、本日再度冷却塔1号機を訪れた。安全上の理由から、ISAMZは地上から確認を行い、ZNPPスタッフが高さ約10mの散水装置から塔内部の火災被害を撮影した。撮影された写真と映像は、直ちにISAMZに共有された。

ISAMZは、写真と映像を検証し、散水装置の内部部品に大きな損傷があることを確認した。

グロッシー事務局長は、「集められた証拠は、火元が冷却塔基部である可能性は低いというIAEAの結論を裏付けるものだ」と述べた。

ISAMZは、冷却塔内部の写真と映像から、大規模な火災と一致するがれきを特定し、散水装置から上方向に向かうコンクリート壁の内側全体に焦げ跡を確認した。明らかな異物は、見つからなかった。 

ZNPPは、火災が冷却塔1号機の構造健全性に及ぼす影響を評価する必要があり、解体が必要になる可能性があるとISAMZに伝えた。

ISAMZは、構造物の内部を確認し、火災発生前の冷却塔1号機に存在していたものと類似している可能性がある資材・仕様を確認するため、もう1つの冷却塔である冷却塔2号機へのアクセスを要求した。 

視察中、ISAMZが冷却塔2号機へのアクセスを要請した直後、空襲警報が発令されたため、ISAMZは直ちに安全な場所に避難した。  グロッシー事務局長は、「散水装置へのアクセスは、ISAMZが今回の火災やその他の関連状況をさらに理解するために重要である。IAEAは、ZNPPを守るための5つの具体的原則の遵守を監視するという役割の一環として、引き続きアクセスを要請していく」と述べた。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-244-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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