ウクライナの原子力発電所の状況 #170
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第254号(現地時間2024年10月10日)[仮訳]
ラファエル・マリアーノ・グロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長は、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)において、原子炉の冷却やその他の安全機能維持に必要な電力供給は依然として不安定であるものの、ZNPPのバックアップ電源として使用できる150kV送電線への接続が回復したことを明らかにした。
150kV送電線は先月末の砲撃により損傷したと報じられており、この送電線はZNPPのサイト近隣にあるザポリージャ火力発電所の開閉所と結ばれているため、ZNPPへの電力供給の可能性がさらに制限された状態となっていた。しかし、ZNPPに駐在するIAEA専門家チームは今週、修理が完了し、送電線が再び利用可能になったと報告を受けた。
軍事紛争中、ZNPPは外部電源として750kVと330kVの2系統の送電線に依存しているが、戦闘によって両送電線は何度も切断されており、追加の電源の重要性が浮き彫りになっている。紛争開始前、ZNPPには10系統の送電線があった。
至近1週間、IAEA専門家チームはZNPP付近などで爆発音を継続的に耳にし続けているが、ZNPPへの被害は報告されていない。
IAEA専門家チームは、スプリンクラー池や2基のタービン建屋などZNPP全体の定期巡回を実施し、主変圧器1台の継続的なメンテナンス作業と、安全システムの一部に関連する非常用ディーゼル発電機1台の試験を視察した。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナの各原子力発電所とチョルノービリ・サイトに駐在するIAEA専門家チームは、至近1週間のうち数日にわたる空襲警報など、紛争の影響下にもかかわらず、原子力安全とセキュリティは維持されている、と報告した。
リウネ原子力発電所では、2号機が計画停止を終え、送電を再開した。また10月7日の朝の空襲警報を受けて、フメルニツキー原子力発電所に派遣されたIAEA専門家チームは避難した。
※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)
※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日
ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~
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