ウクライナの原子力発電所の状況 #180


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第264号(現地時間2024年12月10日)[仮訳] 

12月10日、国際原子力機関(IAEA)の専門家チームが要員交代のためウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)に向かう途中、ドローンがIAEA公用車に衝突、大きな損傷を与えた。ラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長は、軍事紛争中の原子力事故防止に努めるIAEAスタッフに対する攻撃は「容認できない」と非難した。    

攻撃は、現地時間午後2時5分に、ウクライナ管理地域内の、前線から約8km離れた地点で発生した。装甲車に乗っていたIAEAスタッフ、運転手1名、警備員1名は全員無事だが、車両後部が破壊された。    

公用車は、IAEAの原子力安全とセキュリティ確保支援の一環として、1か月ZNPPに駐在していたIAEA専門家チームと合流するため、前線の引き渡し地点へ向かう車列の中にいた。交代要員のIAEA専門家チームはZNPPへの移動のため、12月10日の早い時間に安全に交代地点まで移動していた。  

グロッシー事務局長は「IAEA事務局長として、私はIAEAスタッフに対する今回の攻撃を、最も断固たる言葉で非難する」と声明を発表した。またその中で、「幸いにも犠牲者はおらず、チームは安全な状態にある。専門家チームの交代も完了した」と述べた。  

車列にいた2台目のIAEA公用車の運転手は、自爆ドローンが背後から標的とされた車両に激突するのを目撃している。  

グロッシー事務局長は「私は以前から、原子力発電所への攻撃は許されないと発言してきた。原子力発電所の原子力安全とセキュリティのために尽くす人々を攻撃することも、絶対に許されない」と述べ、最大限の自制を改めて強調した。    

IAEAは、グロッシー事務局長が初の専門家チームを率いてZNPPを訪問した2022年9月1日以来、ZNPPに駐在している。本日到着した新たな専門家チームは、ZNPPに駐在する26番目のチームとなる。    

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-264-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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