ウクライナの原子力発電所の状況 #25


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第101号(現地時間2022年9月12日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)は本日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)への2系統目のバックアップ送電線が復旧したことを現地で確認した。これにより、1系統を予備として保持し、もう1系統で停止中の原子炉の冷却やその他安全上重要な機能に必要な外部電力を供給できるようになった。

欧州最大の原子力発電所であるZNPPの原子力安全にとってもう一つの重要な進展として、昨日停止した原子炉が他の5基と同様に冷温停止状態に入り、冷却に必要な電力が減少したことが挙げられる。

この原子炉はZNPPで最後まで運転していた原子炉で、9月10日に330kVの送電線が復旧し、原子炉の電力に頼らず系統から外部の電力にアクセス可能となったことから、運転を停止した。現在、750/330kVの送電線も復旧し、安全機能に必要な電力を供給するために使用されており、復旧した330kVの送電線は予備として保持されている。復旧した2系統は、いずれも近隣の火力発電所の開閉所を通じて送電網からの電力供給を受けることができる。

このように外部電源へのアクセスが可能になったものの、ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、紛争地域の中心に位置する同発電所の原子力安全およびセキュリティの状況は依然として不安定であることを強調した。ZNPPの主要な4系統の外部送電線はすべて停止しており、現在外部への電力供給は行われていない。

事務局長は本日、IAEA理事会で声明を発表し、「原子力安全/セキュリティ保護エリアの設定が早急に必要であり、関係国と協議を開始した」ことを明らかにした。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-101-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine

ザポリージャの原子力安全、セキュリティ、保障措置の現況
―IAEA事務局長による第2回サマリーレポート(2022年9月6日発表)から抜粋―


※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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