ウクライナの原子力発電所の状況 (第4週報:3月18日~24日)(現地時間) #4

※日本原子力産業協会は本日2022年3月25日より、ウクライナの原子力発電所の名称については、既に慣用として定着しているチェルノブイリを除いて、ウクライナ語表記・発音に基づく以下の表記を使用します。

KHMELNITSKY  フメルニツキー
RIVNE リウネ
SOUTH UKRAINE 南ウクライナ
ZAPORIZHZHYA ザポリージャ
CHORNOBYL チェルノブイリ

◆ウクライナ原子力規制局(SNRIU)発表(2022年3月12日公開08:00<現地時間>)

<ザポロジェ原子力発電所>
1号機 :送電網から切り離し済み
2号機 :980MWで運転中
3号機 :送電網から切り離し済み
4号機 :980MW で運転中
5号機 :送電網から切り離し済み
6号機 :送電網から切り離し済み

<ロブノ原子力発電所>
1号機 :送電網から切り離し済み
2号機 :425MWで運転中
3号機 :660MWで運転中
4号機 :1015MW で運転中

<フメルニツキ原子力発電所>
1号機 :980MWで運転中
2号機 :送電網から切り離し済み

<南ウクライナ原子力発電所>
1号機 :980MWで運転中
2号機 :980MWで運転中
3号機 :送電網から切り離し済み

<チェルノブイリ原子力発電所> 廃炉中

【ウクライナの原子力関係機関】
国家原子力規制検査局(SNRIU): https://snriu.gov.ua/en/timeline?&type=posts
国営原子力発電会社・エネルゴアトム(Energoatom):https://www.energoatom.com.ua/en/


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第31号 202232421:05CET(仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、ウクライナから国際原子力機関(IAEA)に届いた本日付の情報によると、ロシア軍がチェルノブイリ原子力発電所近郊で働く多くの人々が住むスラブチッチ市のウクライナの検問所を砲撃し、彼らを危険にさらし、現場への人員派遣をさらに妨げていると述べた。

ウクライナの規制当局によると、2月24日からロシア軍の支配下にあるチェルノブイリ原子力発電所の原子力と放射線の安全を確保する運転要員の自宅と家族が砲撃の危険にさらされているという。スラブチッチは、1986年の事故後、発電所周辺に設けられた立入禁止区域の外側に位置している。

グロッシー事務局長は、これは4週間近く交代なしで働いていたチェルノブイリの技術職員がようやく交代し、スラブチッチの自宅に帰って休めるようになった数日後の出来事であることに懸念を示し、IAEAは今後も状況を注視していくと述べた。現在、現場で働いているスタッフもスラブチッチ出身である。

また、ウクライナの消防隊が同地域の火災を消火しようとしていると発表した翌日、規制当局はIAEAに対し、チェルノブイリ原子力発電所の近辺で燃える山火事が重大な放射線の懸念を引き起こすことはないと通知した。

ウクライナの規制当局によると、現在、チェルノブイリ原子力発電所の立入禁止区域では放射線測定は行われていない。しかし、規制当局は、このような火災の長年の経験や、1986年の事故後の土壌中の残留放射能汚染の場所と量に関する詳細なデータに基づいて、放射線リスクは低いと評価している。

グロッシー事務局長は、IAEAの専門家もウクライナ側の評価に同意していると述べた。

規制当局は昨日、IAEAに対し、36年前の事故後に設定された立入禁止区域のエリアで火災事象が確認され、首都キエフとチェルノブイリの西にある2つの原子力発電所でセシウムの空気濃度がわずかに上昇したが、放射線リスクの懸念はないと説明した。また、毎年、立入禁止区域で自然火災が発生する「火災シーズン」を前に、立入禁止区域の状況を注意深く監視していると述べている。

規制当局によると、立入禁止区域にあるチェルノブイリの消防署はまだ電力網にアクセスできず、代わりにディーゼル発電機に頼っている。放射性廃棄物管理施設がある原子力発電所敷地内では、引き続き外部電源が利用可能である。

また、チェルノブイリ立入禁止管理局によると、チェルノブイリでは、環境研究所が「略奪者に襲われ」、機器が盗まれたと報告した。この研究所にある放射線校正用線源と環境サンプルが確認できていないという。同局は、研究所の運営者からより多くの情報を得ることを求めている。しかし、提供された情報に基づき、IAEAはこの事象が重大な放射線リスクをもたらすことはないと評価している。

本日の更新で、ウクライナの規制当局はまた、同国の4つのサイトにある15基の原子炉のうち、ロシア支配下のザポリージャ原子力発電所の2基、リウネの3基、フメルニツキーの1基、南ウクライナの2基など、8基は運転を継続していると発表した。ザポリージャ原子力発電所も含め、4つの発電所の職員は8時間交代でシフト勤務しており、放射線レベルは通常通りであった。

保障措置に関しては、前回報告された状況と変わりがないとのこと。チェルノブイリ原子力発電所に設置された監視システムからの遠隔データ送信はまだ行われていないが、ウクライナの他の原子力発電所からIAEA本部へのデータ送信は行われている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-31-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第30号 202232319:06CET(仮訳)

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナの原子力施設の安全性とセキュリティを確保し、人々と環境の両方を脅かす深刻な事故のリスクを防ぐために、専門家と機器を派遣する用意があることを明らかにした。

同事務局長はビデオ声明で、事態を深刻に憂慮していると述べ、IAEAがチェルノブイリ原子力発電所のほか15の原子炉を含むウクライナの原子力施設の安全かつ確実な運用のために技術支援を提供できるよう、合意した枠組を締結することが喫緊の課題であると改めて強調した。

「私は直ちにウクライナに赴き、IAEA専門家のウクライナの各施設への立ち会いや、重要な安全装置の提供など、実質的な支援とサポート措置が含まれる協定を結ぶ用意があると個人的に表明している」とグロッシー事務局長は述べた。

同事務局長はまた、何日も前から集中的に協議してきたにもかかわらず、「前向きな成果はまだ得られていない」と述べ、「事故を防ぐ必要性は日を追うごとに高まっている」と付け加えた。

事務局長は、「我々のイニシアチブとIAEAの努力に対して、高いレベルの支援を表明してくれた多くの政府と国連事務局に感謝したい」と述べ、IAEAは、”ウクライナの原子力安全とセキュリティを確保するために、迅速で不可欠な支援を提供する用意と能力がある “とした。

さらに、「これ以上遅れることなく、この合意された枠組を締結できるよう希望する。これ以上時間を失うわけにはいかない。今すぐ行動する必要がある。」と付け加えた

本日未明、ウクライナの規制当局からIAEAに対し、チェルノブイリ原子力発電所の近くで消防隊が山火事の消火を行っているとの連絡があった。チェルノブイリの消防隊は4件の火災を消火したが、まだ火災は続いている。規制当局によると、地元の消防署は現在、電力網にアクセスできない。そのため、ディーゼル発電機に頼っており、その燃料が必要だという。放射性廃棄物管理施設がある原子力発電所敷地内では、引き続き外部電力が利用可能である。

規制当局は先週、IAEAに対し、36年前の事故による放射性物質で汚染されたチェルノブイリ原子力発電所の立入禁止区域で毎年よく起こる自然発火の季節を前に、同地域の状況を注意深く監視していると通知した。ロシア軍は2月24日にチェルノブイリ原子力発電所を征圧した。

規制当局による本日の更新では、チェルノブイリ原子力発電所の立入禁止区域のエリアで火災事象が見られたと発表した。立入禁止区域では、放射線測定は現在行われていないとのことです。また、キエフとチェルノブイリ原子力発電所の西側にある2つの原子力発電所でセシウムの空気濃度がわずかに上昇したが、規制当局はIAEAに対し、重大な放射線の懸念をもたらすものではないと述べたという。IAEAは、火災の状況についてさらなる情報を得るため、規制当局との対話を続けている。

ウクライナの4つのサイトにある15基の原子炉のうち、ロシア軍が支配しているザポリージャの2基、リウネの3基、フメルニツキーの1基、南ウクライナの2基など8基が運転を継続していると規制当局が発表した。ザポリージャ原子力発電所も含め、4つの発電所の職員は8時間交代制で勤務していた。

保障措置に関しては、前回報告された状況と変わりがないとのこと。チェルノブイリ原子力発電所に設置された監視システムからの遠隔データ送信はまだ行われていないが、ウクライナの他の原子力発電所からはIAEA本部にデータが転送されている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-30-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第29号 2022年3月22日19:16CET(仮訳)

ウクライナからは過去24時間、原子力安全に係る新たな進展の報告はない。国際原子力機関(IAEA)に届いたウクライナ規制当局からの本日付情報によると、同国内4原子力発電所における安全システムは引き続き機能しており、放射線レベルは通常の範囲内である。

規制当局によると、20年以上前に閉鎖されたチェルノブイリ原子力発電所では、新たな技術スタッフが到着し、長いこと遅れていたシフトのローテーション勤務が先週末より再開され、昨日完了(第28号参照)した。2月24日にロシア軍がサイトを制圧して以来、ウクライナのスタッフが交代できたのは初めてのことだ。同サイトでは1986年の事故で発生したさまざまな放射性廃棄物の管理施設が立地している。

IAEAは、チェルノブイリ・サイト近郊での森林火災に関する報道を注視しており、状況に関するウクライナからの情報を求めている。規制当局は先週IAEAに、自然火災が同時期に発生する「火災シーズン」に先だって、チェルノブイリ原子力発電所立入禁止区域の状況を監視していると報告していた。なお同区域はいまだに、36年前の事故以来放射性物質で汚染されているという。

規制当局によると、ウクライナの4サイトで運転中の原子力発電所15基のうち、現在8基(ロシア軍制圧下ザポロジェが2基、ロブノが3基、フメルニツキが1基、南ウクライナが2基)が運転を継続している。4サイトのスタッフは、ザポロジェも含め、8時間交代のシフトでローテーション勤務している。

保障措置の状況は、何も変わっていない。IAEAは依然としてチェルノブイリ原子力発電所に設置されたモニタリングシステムからのリモートデータを受信できていないが、ウクライナの他の原子力発電所からはデータがIAEA本部に届いている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-29-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第28号 2022年3月21日20:36CET(仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、国際原子力機関(IAEA)に届いたウクライナからの情報によると、遅くなっていたチェルノブイリ原子力発電所の技術スタッフの交代が本日完了し、先月ロシア軍が同サイトを掌握して以降初めて帰宅し、休息をとることができるようになったと報告を受けたと述べた。

ウクライナの規制当局によると、交代を拒否した13人のスタッフを除き、技術スタッフの約半数が昨日交代し、残るスタッフが本日交代し現場を離れたという。また多くのウクライナ人の警備員は、現場に残ったままであるという。

規制当局は、道路や橋が損傷しているため、近くのスラブチッチ市へのスタッフの移動が複雑になっていると発表した。スタッフは、2月24日にロシア軍が現場を征圧する前日からチェルノブイリにいた。彼らは、約4週間後、新たに到着したウクライナ人の同僚に業務を引き継いだ後、現場を後にした。

規制当局によると、新しい勤務シフトはスラブチッチからで、現場でのバックアップを確保するため、通常1名のところ、2名の監督者が含まれているとのことである。様々な放射性廃棄物管理施設があるチェルノブイリで、今後のスタッフのローテーションをどのように編成するかについて合意に達したという。

チェルノブイリ原子力発電所でのウクライナ人スタッフの健康状態に深い懸念を表明していたグロッシー事務局長は、スタッフの交代完了の一報を歓迎し、外国軍が駐留するなか、極めて困難かつストレスの多い状況下で、重要な仕事を遂行してきたスタッフの勇気と不断の努力を改めて称えた。

グロッシー事務局長は、ウクライナのすべての原子力施設の安全およびセキュリティの確保を目的とした枠組について合意することをめざし、協議を続けていると述べた。また事務局長は、「この枠組ができれば、IAEAはこれらの施設の安全かつ確実な運転のために効果的な技術支援を提供できるだろう」とも述べた。

規制当局によると、ウクライナ南部のザポロジェ原子力発電所の運転中の2基は、敷地内外の2つの送電ラインを先週修理した後、それぞれ約1000MWeの最大出力の2/3で運転を継続しているという。ザポロジェ原子力発電所では現在、外部電源の高圧(750kV)送電ラインは待機中の1系統を含む3系統が利用可能である。規制当局は、3月4日以降ロシア軍が掌握している同発電所の安全システムは完全に機能していることを強調した。

ウクライナの4か所で運転中の原子力発電所の状況について、ウクライナの規制当局は、15基中8基(ザポロジェの2基、ロブノの3基、フメルニツキの1基、南ウクライナの2基)が運転を継続していると発表した。すべての原子力発電所の放射線レベルは、正常の範囲にあり、安全システムは機能しているという。

規制当局によると、キエフにある研究炉は、安全な停止状態にあるという。

保障措置に関しては、従前に報告されたものと状況は変わっていない。チェルノブイリ原子力発電所に設置されたモニタリングシステムからのリモートデータは受信できていないが、ウクライナの他の原子力発電所からはデータはIAEA本部に届いている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-28-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第27号 2022年3月20日21:50CET(仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、国際原子力機関(IAEA)に届いたウクライナからの本日付情報によると、チェルノブイリ原子力発電所のスタッフの約半分が、4週間近くロシアが掌握しているサイトでの勤務を終え、ようやく交代して家路につくことができたと報告を受けたと述べた。

ウクライナ規制当局は、現場スタッフの交代が午前中に始まり、既に他のウクライナの職員と交代していることを確認した。

1986年の事故現場でのウクライナ人スタッフの健康状態に深い懸念を表明していたグロッシー事務局長は、スタッフの一部交代の報を歓迎した。グロッシー事務局長は、「彼らは外国軍が駐留するなか、十分な休息もなく、非常にストレスと疲労のたまる状況で、重要な仕事を遂行してきた」と述べた。

ここ数週間のチェルノブイリ原子力発電所での困難な人員配置の状況は、今月初めにまとめられた7つの不可欠な原子力安全の柱の1つである“運転員は原子力安全・セキュリティ上の義務を果たし、不当な圧力から解放された意思決定ができる能力を有している”という原則を脅かすものである。

ロシア軍は2月24日にチェルノブイリ原子力発電所を征圧したが、ウクライナ人スタッフが、放射性廃棄物管理施設が存在する同サイトで日々の勤務を継続している。本日の交代以前、ロシア軍進駐の前日から同じシフトで現場での勤務を続けていた。

「チェルノブイリ原子力発電所のスタッフの何人かが交代で家族のもとに戻ったことは、遅まきながらも前向きな進展である。このような非常に困難な状況のなかで働いてきた彼らは、敬意と賞賛を送るのに値する」とグロッシー事務局長は述べ、さらに「彼らはあまりに長い間、現場にいた。残りのスタッフも早く交代できるよう、心から願っている」と述べた。

グロッシー事務局長は、チェルノブイリ原子力発電所の困難かつ不確実な状況は、ウクライナの原子力施設の安全およびセキュリティの確保を目的としたIAEAの取組の重要性を強調しており、IAEAの支援提供の枠組について合意することをめざし、協議を続けていると述べた。また事務局長は、「この枠組ができれば、IAEAはこれらの施設の安全かつ確実な運転のために効果的な技術支援を提供できるだろう」とも述べた。

規制当局によると、ウクライナ南部のザポロジェ原子力発電所の運転中の2基は、敷地内外の2つの送電ラインを修理した後、それぞれ約1000MWeの最大出力の2/3まで徐々に出力を上げている。

ザポロジェ原子力発電所では現在、外部電源の高圧(750kV)送電ラインが待機中の1系統を含む3系統が利用可能である。規制当局は、3月4日以降ロシア軍が掌握している同発電所の安全システムは完全に機能していることを強調した。

ウクライナの4か所で運転中の原子力発電所の状況について、ウクライナの規制当局は、15基中、ザポロジェの2基、ロブノの3基、フメルニツキの1基、南ウクライナの2基など、8基が運転を継続していると発表した。すべての原子力発電所の放射線レベルは、正常の範囲にあり、安全システムは機能しているという。

保障措置に関しては、従前に報告されたものと状況は変わっていない。チェルノブイリ原子力発電所に設置されたモニタリングシステムからのリモートデータは受信できていないが、ウクライナの他の原子力発電所からはデータはIAEA本部に届いている。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-27-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第26号 2022年3月19日20:42CET(仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、国際原子力機関(IAEA)に届いたウクライナからの本日付情報によると、ウクライナの技術者が、ザポロジェ原子力発電所と電力網を結ぶ休止中の3系統の送電ラインのうち1系統を修理し、再接続したと報告を受けたと述べた。

規制当局によると、送電ラインの修復は、同国最大の原子力発電所で現在、3系統が利用可能であることを意味しているという。原子力発電所は、発電した電気を系統に送るため、また必要に応じて自ら電力を得るために、このような送電ラインを利用している。

ザポロジェ原子力発電所は通常時、外部電源の高圧(750kV)送電ラインが4系統と1系統が待機中である。ここ数週間、これらのうちの3系統が接続を失っていたが、ウクライナの規制当局は本日、3月18日夕にそのうちの1系統が再接続されたと発表した。規制当局は以前、3月22日に再接続される見込みであることを発表していた。

規制当局は、原子力発電所の安全システムは完全に機能していることを強調したほか、他の2つの休止中の送電ラインがいつ再接続できるのかは不明であることを付け加えた。ロシア軍は3月4日にザポロジェ発電所を征圧した。6基の原子炉のうち、2基が運転中である。

ロシア連邦は、「ウクライナの原子力施設に関する安全性の現状」に関する本日のIAEAへの正式な留意事項のなかで、ザポロジェ原子力発電所では、「人員の交代は通常どおりに実施されている」「スペアパーツについて問題はない」と主張した。また3月4日の占拠後、原子力発電所の「敷地内の爆発物は…除去された」とも述べている。

ウクライナの規制当局によると、ウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所は、技術者が3月14日に5日間途絶していた電力供給を回復し、以降電力網への接続が維持されているという。ロシア軍は2月24日、同サイトを掌握した。現場の職員は3週間以上、交代することができていない。

ロシア連邦は、本日のIAEAへの留意事項のなかで、3月14日以降、「チェルノブイリ原子力発電所の電力供給の状況は完全に安定した」と述べている。

ウクライナの4か所で運転中の原子力発電所の状況について、ウクライナの規制当局は、15基中、ザポロジェの2基、ロブノの3基、フメルニツキの1基、南ウクライナの2基など、8基が運転を継続していると発表した。すべての原子力発電所の放射線レベルは、正常の範囲にあり、安全システムは機能しているという。

保障措置に関しては、今週初めに報告されたものと状況は変わっていない。チェルノブイリ原子力発電所に設置されたモニタリングシステムからのリモートデータは受信できていないが、ウクライナの他の原子力発電所からはデータはIAEA本部に届いている。

グロッシー事務局長は、ウクライナの原子力施設の安全性とセキュリティに関する枠組で合意することをめざして協議を継続していることを明らかにした。同事務局長は、「この枠組ができれば、IAEAはこれらの施設の安全かつ確実な運転のために効果的な技術支援を提供することができるだろう」と述べた。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-26-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第25号 2022年3月18日18:02CET(仮訳)

ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、国際原子力機関(IAEA)に届いたウクライナからの本日付情報によると、ウクライナの技術者が、同国最大の原子力発電所と電力網を結ぶ未接続の3系統の送電ラインのうち1系統を修理し、来週初めに再接続する見込みであると報告を受けたと述べた。

ザポロジェ原子力発電所は、外部電源の高圧(750kV)送電ラインが4系統と1系統が待機中である。4系統のうち2系統が既に損傷しており、今週に入って3つ目の系統が接続を失ったが、ウクライナの規制当局は本日、3月22日に再接続される見込みであることを発表した。

ウクライナ規制当局によると、敷地外の2系統の送電ライン(1つは待機中)が現在利用可能であり、発電所のすべての安全システムは完全に機能している状態が続いており、安全上の懸念はないとしている。また、他の2つの休止中の送電ラインがいつ再接続できるのかは不明であるという。

ロシア軍は3月4日、ザポロジェ原子力発電所を掌握した。6基の原子炉のうち、2基が運転中である。規制当局は、これら2基はそれぞれ、昨日の敷地内の断線後、500MWeまで出力を下げたが、同日夕に送電ラインを修復、再接続後、再び600MWeまで出力を上げた、と述べた。

規制当局によると、チェルノブイリ原子力発電所は、技術者が3月14日に5日間途絶していた電力供給を回復し、以降電力網への接続が維持されているという。ロシア軍は2月24日、同サイトを掌握した。現場の職員は3週間以上、交代することができていない。

規制当局は、ハリコフでは現在、過去に砲撃で被害を受けた原子力研究施設に現在外部電源が供給されていないが、職員が機器の操作性を維持していると発表した。放射線レベルは、バックグラウンドレベルの範囲内にとどまっているという。この施設は、医療や産業用の研究開発と放射性同位元素の製造に使用されている。施設の核物質は未臨界であり、放射性物質のインベントリも僅かであるため、IAEAは報告された損傷や外部電源の喪失が放射線に影響を与えることはないと評価している。

ウクライナの4か所で運転中の原子力発電所の状況について、ウクライナの規制当局は、15基中、ザポロジェの2基、ロブノの3基、フメルニツキの1基、南ウクライナの2基など、8基が運転を継続していると発表した。すべての原子力発電所の放射線レベルは、正常の範囲にあり、安全システムは機能しているという。

保障措置に関しては、今週初めに報告されたものと状況は変わっていない。チェルノブイリ原子力発電所に設置されたモニタリングシステムからのリモートデータは受信できていないが、ウクライナの他の原子力発電所からはデータはIAEA本部に届いている。

グロッシー事務局長は、ウクライナの原子力施設の安全性とセキュリティに関する枠組で合意することをめざして協議を継続していることを明らかにした。同事務局長は、「この枠組ができれば、IAEAはこれらの施設の安全かつ確実な運転のために効果的な技術支援を提供することができるだろう」と述べた。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-25-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine

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