ウクライナの原子力発電所の状況 #47


◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第129号(現地時間2022年11月20日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)サイトが昨日夜から今朝にかけて度重なる砲撃を受け、建物やシステム、設備が損傷し、一部の爆発は原子炉付近で発生したことを明らかにした。

グロッシー事務局長は、今回の砲撃はここ数か月で最も激しい砲撃の一つであり、紛争地域の中心に位置する欧州最大の原子力発電所であるZNPPにとって、またしても「危機一髪」であったと述べた。

サイトの放射線レベルは通常どおりであり、死傷者の報告もない。紛争中に何度も破壊されているZNPPの外部電源も影響を受けていない。

IAEAの専門家チームが本日午後報告したところによると、今回の砲撃は、現地時間昨日午後6時前に始まり、小康状態を経て本日午前9時15分に再開、40分間に10数回の爆発音がし、その後、再び静かになったという。

IAEA専門家によると、サイト管理者は、放射性廃棄物/貯蔵施設や冷却池のスプリンクラーシステム、原子炉の1つに繋がる電気ケーブル、復水貯蔵タンク、別の原子炉とその補助建屋間の橋など、数か所で被害があったと報告している。

「今回もまた、深刻な原子力事故が起きなかったことは幸運だった。次回はこれほど幸運ではないかもしれない。次が起こらないようにするために、我々は全力を尽くさなければならない」とグロッシー事務局長は述べ、現在のウクライナ紛争中にZNPPを保護し、原子力事故を防ぐための緊急対策の必要性を改めて呼びかけた。

事務局長は、今回のZNPPへの砲撃について、現在も世界各国首脳らと活発に協議していると述べ、ZNPP周辺の原子力安全/セキュリティ保護エリアの合意と設定が今すぐ必要であると主張している。

「発電所の主要な原子力安全・セキュリティシステムに直接的な影響はなかったものの、砲撃は危険なほどすぐ近くで起きている。キロメートルではなく、メートル単位の話だ。ザポリージャで砲撃を行っているのが誰であれ、大きなリスクを冒し、多くの人々の命を危険にさらしている」とグロッシー事務局長は述べた。

IAEAの専門家チームは明日、サイトで砲撃の影響を評価する予定である。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-129-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine

ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 128号(現地時間20221120日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)周辺が昨日夜から今朝にかけて激しい砲撃を受け、ZNPPの比較的穏やかな期間は終わりを告げ、原子力事故防止のための緊急措置がさらに必要となったことを明らかにした。

欧州最大の原子力発電所ZNPPのサイト近郊およびサイト内で新たな砲撃があり、ZNPPに駐在するIAEA専門家は、現地時間の午前中短時間のうちに十数回の爆発音を聞いたと本部へ報告した。また、IAEAチームは窓からいくつかの爆発を視認した。

IAEAチームは、プラント管理者から提供された情報を引用し、ZNPPサイトのいくつかの建物、システム、機器に被害があったが、今のところ原子力安全およびセキュリティにとって重要なものはなかったと述べた。また、死傷者の報告もなかった。IAEAの専門家はサイト管理者と緊密に連絡を取り合い、状況の評価と報告を続けている。

「昨日から今朝にかけての我々のチームからの報告は、極めて憂慮すべきものである。この大規模な原子力発電所の敷地内での爆発は、まったく容認できるものではない。この背後にいるのが誰であれ、直ちに止めなければならない。これまで何度も言っているように、これはただの火遊びだ」 とグロッシー事務局長は非難した。

事務局長は、紛争当事者双方に対し、ZNPP周辺の原子力安全/セキュリティ保護エリアの合意と設定を改めて主張した。ここ数か月、保護エリア設定についてウクライナ、ロシア双方と繰り返し協議を続けてきたが、今のところ合意には至っていない。

「この保護エリアが実現するまで、私はあきらめない。現在進行中の砲撃が示すように、保護エリアがこれまで以上に必要となっている」と述べた。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-128-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine



※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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