ウクライナの原子力発電所の状況 (4月8日~4月18日)(現地時間) #7
※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)
第52号(2022年4月14日)~第56号(2022年4月18日)(現地時間)にて新たな情報はありません。
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第51号 2022年4月13日17:39CET(一部仮訳)
ラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長は、ウクライナのチョルノービリ原子力発電所の安全・セキュリティ確保を支援するため、ミッション日程などの最終調整に向け、同国と緊密に協力していることを明らかにした。
グロッシー事務局長は今月末、IAEA安全・セキュリティ・保障措置専門家のチームを率い、チョルノービリ原子力発電所を訪問する予定である。同事務局長は数週間前に、南ウクライナ原子力発電所を訪問してウクライナ政府高官や発電所職員と会談している。
IAEAは、ウクライナ紛争中の原子力発電所事故のリスクを軽減するため、今後数週間のうちに一連の技術支援ミッションを計画している。
IAEAとウクライナ側は、ミッションの準備の一環として、それぞれの原子力発電所でどのような安全関連機器(スペアの部品やコンポーネントを含む)が必要かを協議している。1986年の事故現場であるチョルノービリでは、IAEA専門家による放射線評価と遠隔保障措置監視装置の修理も行われる予定である。
ウクライナによると、ウクライナの4サイトで運転中の原子力発電所15基のうち、ザポリージャ(ロシアの管理下)の2基、リウネの2基、南ウクライナの2基、フメルニツキーの1基など、計7基が運転中である。その他の8基の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中、あるいは待機中である。
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第50号 2022年4月12日17:32CET(一部仮訳)
この日のウクライナからIAEAに対する新たな重大情報はなく、運転状況は第49号の通りである。
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第49号 2022年4月11日18:24CET(一部仮訳)
ウクライナによると、ウクライナの4サイトで運転中の原子力発電所15基のうち、ザポリージャ(ロシアの管理下)の2基、リウネの2基、南ウクライナの2基、フメルニツキーの1基など、計7基が運転中である。その他の8基の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中、あるいは待機中である。4サイトの安全システムは引き続き稼働中であり、外部電源も利用可能である。
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第48号 2022年4月10日16:41CET(一部仮訳)
ラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長は、ウクライナによる本日付の報告によると、チョルノーブリ原子力発電所で3週間ぶりにスタッフの交代を実施し、ロシア軍が同サイトを占領した2月末以来、2回目の交代を実施したことを明らかにした。
グロッシー事務局長は、紛争中、非常にストレスの多い困難な状況下で生活し、働いている原子力発電所の職員とその家族の健康のために必要な前向きな一歩だと歓迎した。 このシフトの変更はまた、3月31日に撤退するまで5週間にわたりロシア軍に支配されていたチョルノービリ原子力発電所の安全でセキュアな運用にとっても重要である、と述べた。
しかし、原子力発電公社のエネルゴアトムの報告によれば、土曜日のスタッフ交代に参加した人々はプリピャチ川をボートで移動しなければならなかったことから、原子力発電所とその周辺の立入禁止区域の状況が依然として正常ではないことを強調しているという。
エネルゴアトムは、立入禁止区域外のスラブチッチ市に住む人々が、1986年の事故後の放射性廃棄物管理施設がある原子力発電所に行くには、現在河川での輸送が唯一の手段であると語った。
ウクライナはまた、サイトにある放射線モニタリングのための分析研究所が破壊され、分析機器が盗まれたり、壊れたり、使えなくなったりしたと、被害状況の詳細を報告した。さらに、関連する情報通信センターが略奪され、通信回線の一部が破壊され、放射線モニタリングデータの自動送信が不能になったという。
ウクライナはすでに先月、チョルノーブリの中央分析研究所が「略奪」に遭い、校正源の安全性やセキュリティ、保管されている環境サンプルの状態などが確認できないとIAEAに報告している。IAEAは、その時点で提供された情報に基づき、この事象は重大な放射線リスクをもたらすものではないと評価している。
ウクライナによると、ウクライナの4サイトで運転中の原子力発電所15基のうち、ザポリージャ(ロシアの管理下)の2基、リウネの3基、南ウクライナの2基、フメルニツキーの1基など、計8基が運転中である。その他の7基の原子炉は、定期的なメンテナンスのため停止中、あるいは待機中である。
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第47号 2022年4月9日18:10CET(一部仮訳)
ラファエル・マリア―ノ・グロッシーIAEA事務局長は、本日付のウクライナからの報告によると、チョルノーブリ原子力発電所で原子力・放射線安全に関する規制管理を徐々に復旧させているが、2月末にロシアによる支配下で停止したメンテナンスと修復作業のための要員が未だ不足していることを明らかにした。
ウクライナによると、先週ロシア軍が撤退したチョルノービリ原子力発電所の状況について、「放射線安全の要件と厳格なアクセス手順への不適合により、放射能汚染レベルが上昇した」にもかかわらず、放射線の状況は「限界値の範囲内」であるという。
ウクライナ国家親衛隊は、様々な放射性廃棄物施設が立地する1986年の事故現場で物理的な防護を確保している。
しかし、ウクライナによると、必要なメンテナンスなどの専門スタッフが不在のため、放射線やその他のセンサーの動作を回復することはまだできていないという。また、この状況は「安全上重要な他のシステムや機器の故障につながる」可能性があり、機器の動作不能はサイトでの主要な安全パラメータの包括的なモニタリングをより複雑にしているとした。原子力発電所の管理者は、スタッフの交代を確保し、修理のために追加人員を現地に派遣することをめざしている。
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第46号 2022年4月8日18:21CET(一部仮訳)
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、今後数週間のうちにウクライナで実施する複数の原子力安全やセキュリティ、保障措置ミッションに向けて、包括的支援パッケージを準備し、ロジスティックス面での最終準備を進めていると述べた。
グロッシー事務局長は、紛争中の原子力事故のリスクを低減するための技術支援を提供することが急務であると強調するとともに、原子力施設に対するIAEA支援の具体的内容と今月末に開始予定の専門家ミッションのスケジュールの両方について、ウクライナ側と緊密に協議、調整を行っていると語った。
グロッシー事務局長はまた、IAEAはウクライナへの国際的な技術支援を行う“唯一のコンタクト先”であり、ウクライナの原子力施設の安全性とセキュリティ確保を支援する取組に関心のある多くの国々と協議を行っていると述べた。IAEAはまた、その核不拡散の使命に基づき、ウクライナでの保障措置活動を実施すべく、査察官を派遣する予定である。
カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、そして米国で構成するG7不拡散局長級会合は木曜日、“グロッシー事務局長の取組は、ウクライナの原子力安全とセキュリティに多大な貢献をする”と歓迎する声明を発表し、強い支持を表明した。また、「IAEAへの全面的かつ継続的な支援」を強調した。
グロッシー事務局長はさらに、「IAEAは先週、南ウクライナ原子力発電所を訪問した際に放射線モニタリングという形で具体的支援を行ったが、さらに支援が必要である。ウクライナにスペアの部品や機器を輸送し、専門家の評価やアドバイスをオンサイト、オフサイトの両方で実施する準備ができている」とし、「今後数週間で我々の支援活動にさらに本腰を入れるが、この活動を可能にするためには、我々パートナーの継続的な支援が不可欠である」と語った。
グロッシー事務局長は、IAEAの優先事項は、安全性やセキュリティ、保障措置のスタッフをできるだけ早くチョルノービリ原子力発電所に派遣することであると語った。放射線評価を実施し、安全関連機器を届け、3月31日に撤退するまで5週間、ロシア軍に支配されていた同サイトでオンラインの保障措置モニタリングシステムを復旧させる予定である。
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