ウクライナの原子力発電所の状況 #73
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第156号(現地時間2023年5月6日)[仮訳]
ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長が本日明らかにしたところによると、ウクライナのザポリージャ原子力発電所 (ZNPP) に駐在する国際原子力機関 (IAEA) の専門家は、ほとんどの発電所スタッフが居住する近隣の町エネルホダルから住民の避難が開始されたとの情報を受け、原子力安全とセキュリティに影響を与える可能性があるとして、状況を注意深く見守っている。
グロッシー事務局長は、軍事活動が最近激化しているウクライナ南部地域の最前線に位置する欧州最大の原子力発電所ZNPPで、サイトに残ったスタッフとその家族がますます緊張し、ストレスが蓄積し、困難な状況にあることについて深い懸念を表明した。
サイトのIAEAの専門家は、金曜日の深夜を含め、定期的に砲声を耳にしている。
グロッシー事務局長は、「ZNPP近郊地域の一般的な状況は、ますます予測不可能になり、潜在的危険に陥っている。私は、原子力発電所が直面しているかなり現実的な原子力安全とセキュリティのリスクについて、非常に懸念している。私たちは、深刻な原子力事故の脅威とそれに伴う健康や環境面への影響を防ぐために、今すぐ行動しなければならない。原子力施設は防護されなければならない。私は、この極めて重要な目的を達成するために、すべての関係者によるコミットメントを求め続け、IAEAは、原子力発電所における原子力安全とセキュリティを確保するため、できる限りのことをし続ける。」と語っている。
ZNPPサイトのIAEAの専門家は、最近、エネルホダルを訪問できなかったが、住民避難に関する状況について情報を受け取った。これは、金曜日に発表されたと伝えられている。
ZNPP所長のユーリ・チェルニチュク氏は、運転スタッフは避難しておらず、6つの原子炉がすべて停止モードにあるプラントでの原子力安全とセキュリティを確保するために必要なすべてのことを行っていると正式に述べている。プラントの設備は、必要なすべての原子力安全とセキュリティ規制に従って維持されているという。
ほぼ15か月前の紛争開始以来、ZNPPのスタッフの数は徐々に減少しているが、現場の管理者は、プラントの安全な運転に十分な人数が維持されていると述べている。
※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)
※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日
ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~
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